院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

ダーウィンの進化論はそんなに正しいのでしょうか?(その2)

2014-11-20 05:40:46 | 読書
    (前回掲示した本の目次)

 「適者生存」というテーゼがトートロジー(同語反復)だと批判している派は、現在生存している生物種のことを他ならぬ「適者」と呼ぶのだから、「適者生存」は意味をなさない、あるいはいつも「真」なのは当然と指摘します。私も論理的にはそれが正しいと思います。

 一方、そうでない派は、自然科学を探究するときには一定の指針が必要だと主張します。「適者生存」は指針であって、必ずしも真理とは限らないと言います。自然界には神羅万象が無限に存在するのだから、何の指針もなしで闇雲に研究することはできない。それは物理学でも同じだと。

 私は進化論のテーゼだけを論理的に攻撃しても意味がないと思います。やはりテーゼは指針だという派のほうに組したいです。「適者生存」はダーウィニズムの「旗」のようなもので、「旗」がトートロジーだとは揚げ足取りのように感じられます。

 「適者生存」の結果なのでしょうが、生物は「合目的的」にできています。それが、あまりに精妙なので、神の仕業とされることがありました。ところが、「適者生存」、「自然淘汰」というダーウィニズムの考え方によって、神を持ち出さなくとも「合目的性」は説明できるようになりました。ところが、ここでもまた進化の考察に「合目的性」を措定すること自体が批判されます。それについては次回に。


※今日、気にとまった短歌

  父母の言ふ「持つべきは子」を聞きたくて今日も見舞ひぬ二時間かけて  (荒川区)高仲絹