「派遣」が進んだのは企業の人件費削減だけではありません。
赤字でも従業員数に課税するしくみ=外形標準課税で、派遣社員に誘導してきたとみています。
派遣社員だと従業員数には入らず、支払う人件費も減額(75%)されます。
いまは、資本金1億円をこえる企業が対象ですが、これを自民党は、資本金1億円以下に引き下げようとしています。
日本の雇用の7割を支えるのが中小企業の労働者。
資本金1億円以下の企業に働いている方たちにとっては、自民党の税制大綱が実現したら、大変なことになります。日本の直接雇用のしくみは崩壊してしまいます。
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外形標準課税は、事業所の床面積や従業員数、資本金等にかかる税金で、赤字でも課税されます。
導入されたのが、平成16年4月。当時の石原都知事が利益は出ているのに不良債権処理でほとんど課税されていなかった銀行に対して課税しようということで、条例を作り、裁判にまでなっのをおぼえていらっしゃいますか。
結局税率を引き下げることで和解?したのですが、これが契機となり、利益の出ていない企業にも課税する外形標準課税が生まれました。
私は、この外形標準課税が、派遣社員を増やしたと考えています。
正規社員が少ないほど節税になるからです。
赤字でも税金を支払わなければならないのは、企業にとって大変な問題です。
企業からみれば、直接雇用の社員と派遣社員の負担の金額は、受け取る給与の差ほどに大きくはありません。派遣会社に支払う金額があるからです。
良い人材を育て定着して働いてもらえるというメリットもあります。
支払金額からみれば、直接雇用を選ぶ企業も少なくないと思いますが、赤字でも従業員数に課税される外形標準課税とセットにして派遣社員を選ばざるを得ないよう誘導したのではないでしょうか。
現在は1億円以上の資本金の企業が対象ですが、自民党(平成27年度税制大綱P4) は、これを、資本金1億円以下の中小企業に拡大しようとしています。
(労働者派遣法26条1項に規定する労働者派遣契約に基づく労働者派遣を受けた場合、報酬給与に含めるのは派遣契約料の75%でよい)
http://www.tokyo.doyu.jp/suggestion/2014/post-1.html
http://www.tax.metro.tokyo.jp/kazei/info/gaikeiqa.html#a1
大田区は、ものづくりのまち、町工場のまちですが、事業者数は減り続けています。
10,000社が3,000社と思っていたら、先日、100人ミーティングで萩原立教大教授が1,628社という数字を使っていました。
ところが、資本金1億円未満の外形標準課税が導入されると、利益が出ていなくても、こうした町工場はじめ中小事業者への課税が始まることになり、経営を大きく圧迫することになるでしょう。
しかも、日本の雇用の7割は中小企業が支えています。
資本金1億円以下の中小企業に外形標準課税が導入されれば、日本の雇用は壊れます。
中小企業が同友会のマンガがわかりやすいです。