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いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

未成年というステルス stealth

2009-10-07 20:08:56 | 日記
 1999年に起きた山口県光市の母子殺害事件。当時18歳の少年の凶悪で
道的な殺人事件で、被告は、差し戻し控訴審で死刑判決を受け、現在、上告中の事
件。

 この事件のルポルタージュ本(reportage:現地取材)「---(実名)君を殺して何
になる」の出版にあたり(本の内容は現時点では不明)、当時少年であった被告の
実名を出版本の中で表記した内容について、被告(元少年)弁護側から出版差し止
めを求める仮処分の申し立てがあった。

 少年法では、未成年者の社会的責任への未成熟、更生、社会復帰への配慮から、
少年事件での実名報道を禁止している。

 出版元(著者)からは、元少年との数々の面会(談)から、「実名(報道)でも構わ
ない」と了解を得たと主張し、元少年側は「原稿の閲覧を求めただけ(それを見て実名
掲載を判断するつもり)で、実名表記を許可したものではない」と反論している。

 双方の言い分に違いがあるので、当面は少年法に則して、(出版日が差し迫った)
実名表記の出版は差し止めとなることが予想される。
 少年法の趣旨からすれば、当事者本人が了解したか、否かの心証的(確信)な判
断基準で、未成年者のプライバシーのリーク(leak:漏出)が左右されることは適当で
はない。

 権利(主張)意識が強く、陪審員制度が定着して市民感情が裁判に深く関与した
長い歴史をもつ米国では、凶悪な少年事件での実名、写真の公開のニュースを目に
することはある。

 市民感情から見ると、未成年者に対する接し方として、事件の凶悪、重大性如何
(いか)んにかかわらず、成人と同じ社会的責任を本人に求めるのには、それなり
のカウンセリング(counseling)、環境整備がともなう。

 従って、未成年者の法律行為、社会活動に対する「後見」は、「親」または「後見
人」がその責任を負うことになる。
 凶悪事件の実行者が未成年者の場合、被害者のプライバシーの露出に比較して、
実行者(加害者)のプライバシーのステルス(stealth:秘密主義)が顕著だ。

 子どもである未成年者の育成(精神構成)に直接、責任を有する「親」が、子ども
の起こした事件の重大性に見合った社会的責任の所在を明らかにすることを、目に
することは、ほとんど、ない。

 当然、「親」として責任は感じて、ショック(shock)状態であることは想像できても、
適当な早い時期には未成年者(子ども)に替わって、その社会的責任を社会に向け
て実態として明確(謝罪)にする誠意(意思)があっていい。

 少年事件の場合、いつしか、時とともに、社会全般から事件の核心、事件そのも
のが完全に消え去っていくことに、「親」の結果としての責任回避の実態に、不思
議な違和感を憶える。

(少年法は、事件そのものが社会から完全に消え去ることを、未成年者の公正な社
会復帰の必要要件として構成しているかのようだ。)

 

 
 

 

 

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