いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

伝統を継承。  inheritance of arts

2009-10-19 19:23:27 | 日記
 日本の伝統工芸(traditional arts)の「漆(うるし)」は、使っていって、磨いていって
漆黒の地肌がところどころ出るぐらいコントラスト(contrast)を楽しむ、生活に根ざした
芸術文化。

 能登の工場で製作工程を見学したことがある。多岐にわたる製作パーツに、男女
の若い技術者(職人)が大勢かかわっていて、日本の伝統文化を継承する、静かな
エネルギーに溢れていた。静かな、心地よい緊張感が仕事場に漂っていた。

 芸術、文化、伝統工芸の本質は、観賞用として形骸化されるものではなく、生活
の中で市民が使ってこそ、生活実感としてその価値を楽しむのが伝統文化の継承
(inheritance)の原点。

 伝統継承に賭ける若い技術者(職人)の多いのに驚かされ、勇気をもらう。
 大勢の若い技術者(職人)が、日本の伝統工芸に能力を投資するスタンスが、う
れしい。

 彫刻の粋を集めた仏壇製造の工場を経営する人とお近づきになって、工場の製作
工程を見学したこともある。演劇公演の舞台製作も手がけていて、ここでも、多岐
にわたる工程で大勢の若い技術者(職人)が、伝統工芸の技術を勉強し、製作して
いた。

 可児市のヤイリ・ギター(K.YAIRI)。閑静な木造のギター製作工場でも、熟練
のプロモニター(pro-monitor:ギター製作者で調整技術者)に交って、若い技術
者(職人)が、大勢、各製作パーツにかかわって、世界の音楽シーンを演出してい
る。

 芸術大学で基本理論、技術を修学して、アーティストとして表舞台に出る若い芸
術家もいれば、工場では、直接、生活必需品としての伝統工芸の製作に打ち込む若
い技術者(職人)もいる。

 日本の伝統工芸を継承する、守り続ける作業は、地道でも、確実に若い人に受け
継がれていて、今日の生活にも生きてくる。
 伝統工芸の現場を訪ねる度に、関係者の露出の少ない、ひたすらの静かな熱意、
意欲とそれに応える若い技術者(職人)のひたむきなエネルギーを、心に浴びる。
 
 九谷焼のぐい呑みで、秋の夜長、一杯やって、日本の伝統工芸が若い人の手で
綿々と継承(inheritance)されている、歴史と心地よい緊張に酔う。

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