秋風のノクターン generous fall

　１０月にはいって、群生するススキ、コスモスの花が風にゆれて、夜ともなれば
その向こう側の夜空に輝きを増した月が一段と大きく見えるのが、旬の秋だ。
　十五夜といえば、秋だ。ススキにダンゴ、黄金色の満月の輪の中に穂がゆれる幻
想の自然世界は、今でも日本にはある。

　秋本番を迎えて、東京も立候補していた２０１６年の夏のオリンピック開催地が
南米で初めてのリオ・デジャネイロ（ブラジル）に決定した。同国大統領が開催決
定の記者会見で涙したというから、相当の思い入れがあったようだ。

　多分、シカゴでも、東京でも、仮に開催が決まっても首脳が涙することはなかっ
たはずだ。米国も日本も、きっちりはずされた。
　国際オリンピック委員会が、オリンピック発祥のヨーロッパ偏重という仕方のな
い不均衡に選出された世界各地域の委員の投票による開催地決定のシステム。

　必ずしも合理的、論理的、整合性のある決定基準があるわけでもなく、ムード、
エモーション（emotion：情緒）に左右される、人の心が決めるシステムを思えば
、思い入れのより強い都市に決まって、どうぞ立派におやりください、ということ
でいいのではないか。

　総会開催のコペンハーゲン、ヨーロッパで一番知られている日本人といえば、ノ
ーベル賞受賞者だ。そういう方のプレゼン（presentation）でもあればの気構えで
もないと対抗できない。

　２００８年度地方自治体の財政状況の報告で、財政破たん１市、それに近い警
告の地方自治体２１市町村が該当することになり、前年度比較で半減した。
　当該自治体に住民票を置いて生活する市民には直接的な責任はないのだが、
国が直轄して自治体を管理するということになれば、地方自治の原則から税金の
使途の公平性にもかかわる。
　借金をしての財政健全化に取り組む効果もみえはじめた。

　向上心（ambition）、意欲はもちろん基本理念だが、生活に見合った収入追求
は、どこにも見込めず、収入に見合った生活への転嫁（replacement：入れ替え）
が幸せ度の基準として求められる。

　ジーネラス（generous：度量の大きい）な心が、生き方に弾み（rebound）をつけ
る。

　春は、めざめて知り、夏は、燃えて挑み、秋は、静かに楽しみ、冬は、時のうつ
りを身に包む。
　秋を楽しむ季節は、昼と夜とでふたつの表情を持つ。

　熱くならず、自然のままに身にゆだねて、すこし、距離を置いて、時代を、秋を
歩いてみるのも、いい。