筋書きのない、ドラマ。 non plot

　テレビも最近は、ニュース以外はほとんど見ることがない。見るべきものがない
。番組欄を見ても、まるでそこいらのお嬢ちゃん、お兄ちゃん達が使う日常語が、
そのままタイトルにのっかっていて、興味ない。
　フィクション（fiction：つくりもの）がそうだから、ノン・フィクションに興味はいく。

　スポーツは、筋書きのないドラマ（non plot）、といわれる。また、事実は小説
よりも奇なり、という言葉もある。

　メディアの露出が大きい野球。絶対絶命の場面で、ファースト後方の平凡なファ
ウルフライ（foul fly）を打ち上げた。万事休すと誰もが思った時、捕球態勢にはい
ったファーストが投球練習場のマウンドに足をとられて、思わず落球（拍手をする
ところじゃないよ）。気が楽になって肩の力がすっかり抜けたチームは、息を吹き
返す。

　延長にはいって、一気に７点も取られる。誰しも、もう決着はついたと思ったその
裏、あれよ、あれよと７点を取り返し、一打サヨナラの場面で、８点目を取って大逆
転。
　いづれも、現実のドラマとして見てきた。

　筋書きのないドラマ、として表現される。が、日頃の「反復練習（repetition）」
の成果が、極度の「知能集中力（power of concentration）」の中で、反射的に日
頃の反復知能力を引き出す、当然の帰結、結果なのだ。

　ちょっとした、神様のいたづらも、「確率論」として、置かれた環境（グラウンドまた
はステージ）の中では、起こりうることだ。
　筋書きは、キャストが日頃、反復練習（repetition）、知能集中力（power of
concentration）で用意したドラマだった。

　パリーグ年間ペナントレース（pennant race）で２位の楽天イーグルス（eagles）。
球団創立５年目のチームの終盤でのし烈な３位争いでは、誰もが実績のない楽天Ｅ
がその内落ちるものと思っていたが、あれよ、あれよとの２位。
　筋書きのない、ドラマ。

　クライマックスシリーズの短期決戦では、日本を代表をする完投能力のある優れ
た二人のピッチャーを擁していて、むしろ得意とするチームカラーで、第１ステー
ジを順当に勝ちあがった。

　その楽天イーグルス。たとえ優勝しても現監督を解任することを発表した。
　勝敗がステータス（status）のアマチュアスポーツでは、絶対にありえないこと
。

　プロ野球。勝敗もさることながら、営業面、人気、インパクト（impact）、イメージ
（image）も先行する。
　球団経営の新興産業で、インターネットを利用した商業活動で進出した企業とい
うことで、従来のイメージとは趣の違う、あたらしいプロ戦略を示した。

　後任監督が、あたらしいインパクトのあるチームの顔となって、地元の心を、勝
利をつかむことができるのかで評価は決まる。筋書きのない、ドラマ。

　
　政治の世界では、筋書きのないドラマ、事実は小説よりも奇なりが、横行。実体
のない、献金、事務所、住人と、裏金づくり、不正経理と、キャスト(cast）に事欠か
ない。
　筋書きは、隠れたところで、密かにドラマ化されている。

　政治ドラマのキャストには、スリリング（thrilling）でなく、誰の目にもあきらかな、
プロデューサーの国民の筋書きどおりの、見て安心のドラマを見せてもらいたい。