(1)高速道路無料化も「理念」が先行して、「実態」が追い付かない。そもそも、高速道路
建設時には、設備投資が回収された時点で無料化を前提としたものも過去にあり、運用上
の問題が整備されてこずに、政権交代のマニフェストで唐突に注目されて流通業界や環境
分野からの反対もあって、完全実施まではいっていない。
地方の短区間の高速道路を対象として、無料化の社会実験(test of social effect)を
6月末から開始した。実験対象としては、地方の局地的対応で全体交通効果の総合判断
がむづかしい設定で、ここでも財源不足が効果的な総合的社会実験を妨げている。
当初の準備財源規模の6分の1(1000億円)に押さえられて、完全実施への展望もひら
けない。
1か月たって、高速道路全区間平均で休日1日交通量が2倍に増えた。並行する一般道路
とのすみ分け相乗効果(synergy effect)を見ると、一般道路の同交通量が20%減少した
事例がある(国交省データ)。
地方の局地的で1か月という短期間の実験結果なので、これがそのまま通年で全国に適応
できるドライバー思考データとは思わないが、高速道路と一般道路との利用比率の高低は別
にして、交通量(渋滞解消)のすみ分け相乗効果は原則として示された。
すみ分け比率は、これからドライバー心理の自助努力、経済事情も働いて、より効果が出
てくることは考えられる。
この期間の高速道路の交通量増加と一般道路の減少のすみ分け比率には、しかし、ドライ
バーに遠出の家計負担の問題もあり、休日ごとに同じドライバーが同じように高速道路を年間
利用する確率は少なく、増加と減少のすみ分け比率にはドライバーの渋滞回避感覚、調整・
選択能力、自助努力もそのうち働いて通年効果として出てくるのが普通と考えていい。
流通業界も含めて高速道路と一般道路の利用するすみ分けに、ドライバーの調整・選択能
力、自助努力による経験則(rule of thmb)が活かされれば、それも考える社会行動学だ。
行動というのは、経験則の中から、より自己目的の確率の高いものを考え選択する。それは、
環境問題においても、自動車の環境適応化への行動で応えるものだ。
高速道路無料化は国民すべてに効果を還元すべく、運用整備の促進が求められる。
(2)刑事罰は、報復主義(retaliationism)ではないから、犯罪に「相応の責任」を科すものだ。
「相応の責任」というのは、生涯を通しての受けるべき責任の履行だから、凶悪犯罪での「時効」
は今年ようやく廃止された。
被害関係者の気持ちを考えれば、①犯罪要件の完全立証による事件の終結とあわせて、②
法規定による「適正」な加害者のとるべき責任履行と普遍的な事件の再発防止だ。
刑法では、犯罪者のとるべき責任の最高刑(maximum penalty)が無期懲役又は死刑と規定
されている。
先進国で死刑制度を有するのは米国と日本のみで、圧倒的に死刑廃止国が大勢を占めてい
る。国によっては、歴史的、文化的経緯から判決基準も違い、今年に入って新興国の中国で大
麻持込み容疑で日本人犯罪者の死刑が執行されて、その落差に物議をかもした。
人が人を裁くことの不条理、非報復性、取り返しのつかない誤審と、最高刑に対する疑念は
世界共通のものであり、日本でも死刑廃止論は根強くある。
刑法上の規定に則して、裁判審理の結果言い渡される判決としての最高刑が現実に存在し
ながら、国民の86%がこの制度を容認する中での死刑廃止論議だ。
時効廃止に踏み切って、生涯を通しての「相応の責任」のとるべき最高刑の有り様は、専門
的に理論整理されるべきだ。
建設時には、設備投資が回収された時点で無料化を前提としたものも過去にあり、運用上
の問題が整備されてこずに、政権交代のマニフェストで唐突に注目されて流通業界や環境
分野からの反対もあって、完全実施まではいっていない。
地方の短区間の高速道路を対象として、無料化の社会実験(test of social effect)を
6月末から開始した。実験対象としては、地方の局地的対応で全体交通効果の総合判断
がむづかしい設定で、ここでも財源不足が効果的な総合的社会実験を妨げている。
当初の準備財源規模の6分の1(1000億円)に押さえられて、完全実施への展望もひら
けない。
1か月たって、高速道路全区間平均で休日1日交通量が2倍に増えた。並行する一般道路
とのすみ分け相乗効果(synergy effect)を見ると、一般道路の同交通量が20%減少した
事例がある(国交省データ)。
地方の局地的で1か月という短期間の実験結果なので、これがそのまま通年で全国に適応
できるドライバー思考データとは思わないが、高速道路と一般道路との利用比率の高低は別
にして、交通量(渋滞解消)のすみ分け相乗効果は原則として示された。
すみ分け比率は、これからドライバー心理の自助努力、経済事情も働いて、より効果が出
てくることは考えられる。
この期間の高速道路の交通量増加と一般道路の減少のすみ分け比率には、しかし、ドライ
バーに遠出の家計負担の問題もあり、休日ごとに同じドライバーが同じように高速道路を年間
利用する確率は少なく、増加と減少のすみ分け比率にはドライバーの渋滞回避感覚、調整・
選択能力、自助努力もそのうち働いて通年効果として出てくるのが普通と考えていい。
流通業界も含めて高速道路と一般道路の利用するすみ分けに、ドライバーの調整・選択能
力、自助努力による経験則(rule of thmb)が活かされれば、それも考える社会行動学だ。
行動というのは、経験則の中から、より自己目的の確率の高いものを考え選択する。それは、
環境問題においても、自動車の環境適応化への行動で応えるものだ。
高速道路無料化は国民すべてに効果を還元すべく、運用整備の促進が求められる。
(2)刑事罰は、報復主義(retaliationism)ではないから、犯罪に「相応の責任」を科すものだ。
「相応の責任」というのは、生涯を通しての受けるべき責任の履行だから、凶悪犯罪での「時効」
は今年ようやく廃止された。
被害関係者の気持ちを考えれば、①犯罪要件の完全立証による事件の終結とあわせて、②
法規定による「適正」な加害者のとるべき責任履行と普遍的な事件の再発防止だ。
刑法では、犯罪者のとるべき責任の最高刑(maximum penalty)が無期懲役又は死刑と規定
されている。
先進国で死刑制度を有するのは米国と日本のみで、圧倒的に死刑廃止国が大勢を占めてい
る。国によっては、歴史的、文化的経緯から判決基準も違い、今年に入って新興国の中国で大
麻持込み容疑で日本人犯罪者の死刑が執行されて、その落差に物議をかもした。
人が人を裁くことの不条理、非報復性、取り返しのつかない誤審と、最高刑に対する疑念は
世界共通のものであり、日本でも死刑廃止論は根強くある。
刑法上の規定に則して、裁判審理の結果言い渡される判決としての最高刑が現実に存在し
ながら、国民の86%がこの制度を容認する中での死刑廃止論議だ。
時効廃止に踏み切って、生涯を通しての「相応の責任」のとるべき最高刑の有り様は、専門
的に理論整理されるべきだ。