(1)第2次世界大戦連合国の米軍が上陸した沖縄は、1972年に返還されたが、その後、
駐留米軍基地の80%がその沖縄に集中して、「治外法権」という占領政策が続く。
当時、ソビエトの連合国におけるスタンスはよくわからないが、1945年9月の終戦(調印)
に合わせて、日本固有の領土(territory)のうち北方4島〔択捉(えとろふ)、国後(くなしり)、
色丹(しこたん)、歯舞(はぼまい)〕は、当時のソビエトの実効支配(占領:occupation)とな
った。この4島は、現在もソビエト連邦崩壊後のロシアの実効支配(占領)のままだ。
その間、両国の首脳会談の機会に4島一括返還、まず2島返還論とか領土返還交渉も行わ
れたが、目立った進展はなく、現在は糸口さえ見えない。
最近は、北方4島の択捉島でロシア軍の軍事演習も実施されて、実効支配(占領)を強く印
象づける効果を狙っているように見える。
ロシアは、追い打ちをかけるように1945年9月を「対日戦勝記念日」として法制化、北方4島
の実効支配(占領)を法的に既成事実化して、これらをロシア領域として主張する手段をとった。
事実上、北方4島の返還交渉はむづかしい局面となった。
しかし、第2次世界大戦で日本固有の領土を一方的に占有(占領)した事実を、ロシアが国内
法的にも認めたことになり、この法制化はパラドックス(paradox)として、当時特別な協定の拘束
でもない限りは固有の領土権利を持つ日本との協議、外交プロセスを避けて通れない「事実」
もまた確認したことでもあった。
沖縄が「返還(restoration)」されて「38年」、ロシア(旧ソビエト含む)との北方4島の返還交
渉が進展しない「理由」が国民には伝えられずに、しかし、拙速に沖縄の返還後の悲劇の二の
舞は繰り返してはならないことも真実だ。
今回のロシアの対日戦勝記念日の法制化を、これにあわせた領土返還交渉のチャンスと捉
えて、公平で公正な領土返還交渉を推進したいものだ。
(2)裁判官(judge)の複数事件の同時対応の煩雑審理解消から、表向きは市民感情を裁判
に取り入れる効果と言われた裁判員制度(lay judge)が昨年5月に開始されて、この1年間の
実施状況が最高裁から公表された。
全国554件(被告は582人)の裁判で判決を言い渡し、このうち不服として控訴(appeal)
があった比率が29%と、それ以前の裁判官だけの場合より6%弱低下した。
制度導入のオリエンテーション時期ということもあり、裁判員制度が「被告が起訴事実を
認めて争わない事件がほとんど」(報道)という事情があったようだ。
オリエンテーションという事情を除けば、裁判官不足(または裁判事例の増加)による複数
審理の解消を目的とした事実関係、事例が明らかな審理による裁判員裁判が対応した実態
を示すものだった。
この情報開示では、当初の導入目的のひとつとされた審理への「市民感情」の効果につい
ては、明らかなデータの分析開示が伝わってこない。多角的に分析、検証が必要だ。
裁判への「市民感情」効果については、検察審査会制度への参加の方が市民にははるか
にふさわしい。
駐留米軍基地の80%がその沖縄に集中して、「治外法権」という占領政策が続く。
当時、ソビエトの連合国におけるスタンスはよくわからないが、1945年9月の終戦(調印)
に合わせて、日本固有の領土(territory)のうち北方4島〔択捉(えとろふ)、国後(くなしり)、
色丹(しこたん)、歯舞(はぼまい)〕は、当時のソビエトの実効支配(占領:occupation)とな
った。この4島は、現在もソビエト連邦崩壊後のロシアの実効支配(占領)のままだ。
その間、両国の首脳会談の機会に4島一括返還、まず2島返還論とか領土返還交渉も行わ
れたが、目立った進展はなく、現在は糸口さえ見えない。
最近は、北方4島の択捉島でロシア軍の軍事演習も実施されて、実効支配(占領)を強く印
象づける効果を狙っているように見える。
ロシアは、追い打ちをかけるように1945年9月を「対日戦勝記念日」として法制化、北方4島
の実効支配(占領)を法的に既成事実化して、これらをロシア領域として主張する手段をとった。
事実上、北方4島の返還交渉はむづかしい局面となった。
しかし、第2次世界大戦で日本固有の領土を一方的に占有(占領)した事実を、ロシアが国内
法的にも認めたことになり、この法制化はパラドックス(paradox)として、当時特別な協定の拘束
でもない限りは固有の領土権利を持つ日本との協議、外交プロセスを避けて通れない「事実」
もまた確認したことでもあった。
沖縄が「返還(restoration)」されて「38年」、ロシア(旧ソビエト含む)との北方4島の返還交
渉が進展しない「理由」が国民には伝えられずに、しかし、拙速に沖縄の返還後の悲劇の二の
舞は繰り返してはならないことも真実だ。
今回のロシアの対日戦勝記念日の法制化を、これにあわせた領土返還交渉のチャンスと捉
えて、公平で公正な領土返還交渉を推進したいものだ。
(2)裁判官(judge)の複数事件の同時対応の煩雑審理解消から、表向きは市民感情を裁判
に取り入れる効果と言われた裁判員制度(lay judge)が昨年5月に開始されて、この1年間の
実施状況が最高裁から公表された。
全国554件(被告は582人)の裁判で判決を言い渡し、このうち不服として控訴(appeal)
があった比率が29%と、それ以前の裁判官だけの場合より6%弱低下した。
制度導入のオリエンテーション時期ということもあり、裁判員制度が「被告が起訴事実を
認めて争わない事件がほとんど」(報道)という事情があったようだ。
オリエンテーションという事情を除けば、裁判官不足(または裁判事例の増加)による複数
審理の解消を目的とした事実関係、事例が明らかな審理による裁判員裁判が対応した実態
を示すものだった。
この情報開示では、当初の導入目的のひとつとされた審理への「市民感情」の効果につい
ては、明らかなデータの分析開示が伝わってこない。多角的に分析、検証が必要だ。
裁判への「市民感情」効果については、検察審査会制度への参加の方が市民にははるか
にふさわしい。