センバツと肘手術。 high school baseball & operation of elbow

　(1)春を呼ぶ「センバツ」の組合せも決まりいよいよ高校野球が甲子園に帰ってくる。高校野球に期待する日本人も多く、日本を代表する一大スポーツイベントでもある。

　日本人は高校野球に何を見て、何を期待しているのだろうか。いちずでひたむきなプレースタイル、個性よりはチームワークに徹する犠牲心、協調性、そして郷土をあげて応援する地域代表の名誉心と日本の将来性、若い成長力、活力に地域力を実感できるハツラツ高校野球だ。教育こそが地方創生の基本だ。

　球春、春を呼ぶ「センバツ」がその言葉群にもっともふさわしい季節感を日本にもたらして、持ってやってくる。

　(2)その高校野球も近年は勝利優先主義で個性能力（ability of individuality）開発が強調されて地域特色性が薄れ、情報共有による全国的に戦力が平均強化されて、ひたむきよりは勝利のための戦略が重視されるように変遷してきた。

　かっての高校野球は絶対エースがひとりいて連投、連投で耐えて勝ち抜く根性感動スポーツであったが、金属バット導入で打者有利になるとひとりの絶対エースで勝ち抜くことは難しくなって、複数エース制が必要な時代になってきた。

　(3)ひとりの投手への体力負担を軽減するというよりは、連戦が多い甲子園大会を勝ち抜く方法論（methodology）として考えられることが多い。高校球児の体力負担消耗を考慮して延長１８回戦は１５回に縮小され、勝ち上がると１日日程休養日を設ける対策をとってきた。

　延長試合の負担を考慮して国際試合でも導入されている延長タイブレーク方式を高校野球甲子園大会でも検討されたが、地域の代表として名誉ある甲子園大会に出場したからには、高校球児が全力を出し切って納得のいく決着、勝負をつける試合が求められて体力負担軽減の教育的配慮よりはスポーツの勝負決着主義が優先されて、今のところは延長タイブレーク方式導入には全体として消極的で見送られている。

　(4)高校野球で活躍するエース投手は、体力が十分出来上がっていない成長途上過程での「投げ過ぎ」、酷使が肘、肩に負担をかけることが指摘されて、将来的な成長、成育に問題も指摘されている。

　その高校野球でエース投手として活躍してその後プロ野球に進んで能力をさらに伸ばして、米国大リーグに招へいされた日本野球界のエースたち。本場米国大リーグでも日本野球界のエース投手の能力は高く評価されて、契約金、年俸も日本よりも破格に高く、本場メジャーの米国大リーグで活躍することが目標となっている。

　(5)ところがそうして米国大リーグに入った日本のエース投手のほとんどが数年のうちに肘、肩を壊して故障者リスト、修復手術をするニュースが相次いでいる。何もなく過ごしたのはヤンキースに所属した黒田投手ぐらいで、田中投手は昨年の肘故障後離脱しようやく今年復帰を果たしてダルビッシュ投手も今年肘の手術（operation of elbow）受ける選択をして今季出場は絶望となった。

　米大リーグのボールの大きさ、マウンドの固さ、４日間隔の登板日程、食生活の違いなど環境問題が故障を加速させているのは確かだが、高校野球での成長途中過程での体力負担、酷使のダメージはないのか。

　(6)高校野球での延長タイブレーク方式導入よりは、投手投球回数、登板間隔の制限が必要だ。