いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

復興予算の3%負担。 3% obligations in a reconstructive budget

2015-06-04 19:44:29 | 日記
 (1)政府は東日本大震災復興事業で5年間の国による集中復興事業負担終了後の16年~20年度の復興事業に、被災地元自治体にも1.0~3.3%の予算一律負担を求める方針を発表した。

 これまでの「他災害」との公平性(fairminded)、整合性をはかるというものだが、東日本大震災はこれまでの他災害とは大きく異なる要因がある。
 マグニチュード9.1の千年に一度ともいわれる巨大地震発生にこれまでも政府関係機関会議で津波対策が指摘されながら有効な準備、対策を怠ってきて大津波被害が拡大したこと、さらに政府が「安全神話」のもとに原発促進政策を原発事業者とともに進め、これまた津波対策を怠り福島第一原発事故による格納容器の水蒸気爆発により放射性物質の漏出を引き起こして、4年経過した現在でも帰宅困難地域が残り避難者は全国に数十万人もいるという前代未聞の災害事故を引き起こしたことだ。

 (2)巨大地震の発生は予知することはむずかしいとしても専門家から歴史的事象、記録からそのための準備、対策は指摘されており、有効な手段、対策を考えてこなかった結果として国民の生命、財産、生活を守れなかった政府の「責任」は、「他災害」と比較しても重いといえる。

 さらに復興構想会議では被災地の将来復興計画像に対して政府としての指針、プランが示されずに、その後の政府と現地被災自治体、住民との思惑、考え、意識の時差、ズレを生じて復興が一向に進まない要因となって、結果として復興予算の大幅な積み残しとなってあらわれた。

 (3)予算の使途を制限して現地被災自治体と住民に復興計画の実現をまかせた政府の政策主体性(subjectivity)のなさは福島第一原発事故収束も原発事業者の東電に押し付けて、その後汚染水漏水対策での不始末が相次いで事故収束計画の遅れを変更を招いて、また除染対策の不備、見通しの甘さで被災者の帰宅計画、復興計画が一向に進まない。

 これだけ政府の東日本大震災責任の甘さがありながら、期限だけで他災害との公平性を持ち出して被災自治体に復興予算の肩代わりを求めるやり方は責任転嫁といわざるを得ない。

 (4)もちろんいつまでも政府による復興予算負担というわけにもいかないわけだが、復興予算の兆円規模の積み残しは政府と「現地」との思惑、意識のズレ、時差による意思統一が出来ない復興予算の使い勝手の悪さによるものが主な原因であって、復興予算の被災自治体による一定の負担を求める前に復興予算の目的、目標、使途を被災地自治体に裁量を委ねる有効活用をはかり、被災地地元の政策の合意形成、実行促進をはかる工夫が必要だ。

 (5)政府は復興計画の見通し、工程表を作成して被災地自治体、住民の理解と意欲と希望をつくり出さなければならない。安倍政権の目指す地方創生の第一目標のはずだ。

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