いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

GPS捜査。 a search by GPS

2015-06-08 19:31:45 | 日記
 (1)来年の日本で開催されるG7の開催地が伊勢志摩(会場は賢島)に決定した三重県は、その少し前に捕獲したツキノワグマを連絡もなく隣の滋賀県山林に放ち問題となっていた。

 ツキノワグマにはGPS(全地球測位システム)が取り付けられて移動が追跡されており、しばらくして再び三重県側に戻っていたことが確認されており、三重県としては再び捕獲して殺害することを検討している。

 (2)このGPSを大阪府警が6か月以上にわたって令状(a search warrant)もなく勝手に広域窃盗事件容疑者の車に取り付けて捜査したことが問われた裁判で、大阪地裁は「違法」と判決した。

 「プライバシー保護の期待が高い場所(極めて個人的な生活内部ーブログ注)の情報を取得できる」として「大きなプライバシー侵害を伴う」(報道)と判断した。「令状請求に何ら支障がないのにこれを怠った」(同)ということだが、令状を請求すれば適用当該者に「提示」する法的必要がありこれでは警察の極秘による追跡捜査は事実上不可能になり、捜査の有力な手段を失うことになる。このことについては判決は何も指摘していない(同)。

 (3)GPSも犯罪容疑者に限って使用されるという保障でもあればまだしも(それでもあくまで容疑者段階のことであり不確定者の権利侵害は残る)、これが警察の一方的な判断だけで使用可能となればこれこそ一般人のプライバシー侵害、権利侵害に及ぶ危険度も高く、昨今の可視化の必要性が言われる警察、検察による不適切な取り調べのへい害を見るにつけ、GPS捜査(a search by GPS)への歯止めは欠かせないところだ。

 (4)日本の捜査も米国で通例となっている「おとり捜査」を取り入れるなど日本の風土にそぐわなかった捜査手法にも目を向け、また事件の広域化、巧妙化、情報化に対応する近代化、科学捜査も積極的に取り入れて変化してきており、その犯罪立証の効果性(effectiveness)と国民生活プライバシー保護(security)の侵害性解消の両立に向けての法的整備が必要になっている。

 (5)GPSのように人間の行動経路、範囲が完全に把握できる追跡システムは、警察が一方的に独断で使用できるとなると国民の権利侵害ははかりしれない不安と危険をもたらす可能性が大きく、やはり客観的な考証、検証の裁判所の判断(令状)許可は必要だ。

 ただし、これが現法規に定めるように対象容疑者への「提示」が必要となれば、何のための極秘捜査なのかわからなくなる。GPS捜査のような捜査の近代化による特殊性が増えれば、令状はとっても事件の特殊性(裁判所判断)から対象容疑者に提示不可の特別事例が認められる法整備は必要だ。

 (6)検察改革は取り調べ室の全面可視化が検討されているが、捜査の近代化、科学捜査の進化にともなう犯罪立証の効果性と国民の安全、権利保障の両立を目指す法整備は、検察不信の現状認識の中では避けて通れない司法パラダイム(paradigm)だ。

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