いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

茶番の安保法制論。 a low comedy of security legislation

2015-06-01 20:02:58 | 日記
 (1)常時出席の防衛相、外相に安倍首相が出席して開かれている衆院平和安全法制特別委員会も本日が最終日を迎えている。焦点は自衛隊員のリスクの割合に集団的自衛権の行使を公海上だけではなく他国の領海、領域内でも行うのかに集約されている中で、安倍首相は今の頭の中ではホルムズ海峡の機雷封鎖が想定しうる事例だと述べて、ここがなかなか明確になってこない。

 日本は中東産油国からホルムズ海峡の狭い海峡を通って石油の8割を輸入しているので、ここが封鎖されると日本の国民の生活の安全が著しく損なわれるために重要影響事態として集団的自衛権の行使の対象になるというものだ。

 (2)たとえば南シナ海で同じ事態が起きても、安倍首相はそこは「迂回」することも可能でホルムズ海峡とは事情が異なり想定しうるものではないと説明するが、ここが果たしてそういうことなのかどうなのか(米国の意向、要請によっては)はっきりしないまま堂々巡りに終始してよくわからない議論になっている。

 質問者が事例をあげよと迫れば、安倍首相は他国との関係もあって事例をあげるのは適切ではないとかわすよくわからない議論だ。自衛隊員のリスクと他国の領海、領域での戦闘参加は関連性が大きいところだ。
 政府答弁も軍事的波及のない純粋に経済的な影響だけで重要影響事態になるのかで、「全く想定していない」から「総合的に判断する」(岸田外相)に変化するなどあやふやのまま(紛糾)だ。

 (3)政府がこの有り様なのだから直近の世論調査で国民の「十分に説明しているとは思わない」が81.4%と非常に高い数値だ。
 同委員会質疑を聞いても禅問答のようで何を言っているのか国民にはよくわからない。

 米国の国防費削減の穴埋めのための日本の日米軍事同盟の強化、集団的自衛権の行使なので、米国の事情によって行使範囲がどうにでも拡大、変化するものだけに、安倍首相としても日本の事情だけで確定的なことが言えない問題事情があるのだろう。
 安保法制論議を聞いているだけでは、集団的自衛権の行使範囲について理解することはもともとむずかしい背景事情がある。

 (4)日本の国防、防衛は日米安保、軍事同盟を抜きには考えられないので、安保法制も日本の安保論でありながら米国ほか同盟国の世界軍事戦略の中での役割の一部として考える必要がある。

 維新の党の江田議員は同委員会質疑で、憲法学者の間では今でも自衛隊は憲法違反だと述べていたが、そこまで法律論を振りかざしても今では日本の国防、防衛は平和憲法を飛び出して日米安保、軍事同盟が基軸のものであり、米国、米軍の影響力が比較減退している分確実に攻撃的思考に変わらざるを得なくなってきている。

 (5)その「歯止め」をどこに求めるのかの安保法制論議であるが、不確実性は否めないのが国民に理解できずに不安と危険性をもたらしている。

 憲法よりも条約、同盟関係が優先される国是(these)というのは、その時点で間違いを犯していることになる。
 そういう進むべき選択で間違いを犯した安保法制案を国会がいくら論議してみても正当性、整合性を導くことなど端っからできないものだ。

 (6)そういう意味での茶番(a low comedy)であり禅問答国会論議を見せられている。

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