(1)09年5月に導入された裁判員裁判制度は実施後3年で見直すことになっていた。裁判員のストレス増大も大きな社会問題になってはいたが、特に大きな改正(revision)の声にはならずに司法関係者の成果強調のもとに6年経過した。
裁判員裁判導入の理由に、裁判審理に「市民感情、感覚」を導入して専門裁判官の法理論至上からの形がい化に人間性、生活感を取り入れようという試みだったが、当時言われたのは裁判訴訟増加に裁判官の数が不足してひとりの裁判官がいくつもの裁判訴訟をかけ持ち、多忙を極めていたことへの対策でもあった。
(2)政府は法科大学院を設置して新司法試験制度のもとに裁判官、法曹人養成を目指したが目標にほど遠く、最近は定員に満たない法科大学院も多くなり新司法試験の合格率も低迷して、裁判官不足は解消されないままだ。
その分、裁判員裁判(civil judge)の役割、使命も高まってきてはいるが、これまた最近の傾向として市民感情、感覚の裁判員裁判の判断、判決に対して最高裁は判例、量刑比較重視を持ち出して、裁判員裁判の判決を減刑する、差し戻すことが多く目に付くようになってきた。
(3)最高裁が司法の裁判員裁判導入の目的、趣旨を自ら否定する従来の専門裁判官による判断、判例、量刑比較を判断基準とするものに回帰している。
そもそも人が人を裁く不条理(unreasonableness)の裁判の世界で、判例、過去の量刑比較はせめてもの裁判判断基準の公平、公正性を示すものではあるが、専門裁判官による法理論上の比較形式主義の中で、市民生活、感情、感覚での機微(表面にあらわれなくて容易にわからない微妙なことがら・事情ー辞典)を裁判審理に活かす司法目的が損なわれては裁判員裁判制度の意味、意義はないことになる。
(4)国会は5日の参院本会議で裁判員裁判制度が6年経過して、はじめて裁判員法を改正、成立させた。「審理が著しく長期に及ぶなど裁判員の確保が難しい場合、裁判官だけで審理できる」ことを柱とした(報道)改正裁判員法だ。
裁判員の負担、ストレス軽減を目指した改正である。これまでもインパクトの強い証拠場面の実写をイラストにしたり裁判員のストレス軽減の手立ては工夫されてきたが、証拠の加工はそれでは本来の証拠にもとづく裁判審理、判断による事実関係の解明、量刑判断には逆行するもので、やはり裁判員裁判の限界を示すものである。
(5)裁判員に配慮した①証拠の加工、②最高裁による判例、量刑比較重視による裁判員の判断否定に③専門裁判官だけで審理できる法改正と本来の裁判員裁判導入目的、趣旨は司法現場からの後退(go back)が顕著になってきている。
市民による裁判関与は検察審査会のような専門裁判官による判決のチェック機関としての役割がふさわしいと書いてきたが、裁判員裁判運用も根本から見直す必要がある。
裁判員裁判導入の理由に、裁判審理に「市民感情、感覚」を導入して専門裁判官の法理論至上からの形がい化に人間性、生活感を取り入れようという試みだったが、当時言われたのは裁判訴訟増加に裁判官の数が不足してひとりの裁判官がいくつもの裁判訴訟をかけ持ち、多忙を極めていたことへの対策でもあった。
(2)政府は法科大学院を設置して新司法試験制度のもとに裁判官、法曹人養成を目指したが目標にほど遠く、最近は定員に満たない法科大学院も多くなり新司法試験の合格率も低迷して、裁判官不足は解消されないままだ。
その分、裁判員裁判(civil judge)の役割、使命も高まってきてはいるが、これまた最近の傾向として市民感情、感覚の裁判員裁判の判断、判決に対して最高裁は判例、量刑比較重視を持ち出して、裁判員裁判の判決を減刑する、差し戻すことが多く目に付くようになってきた。
(3)最高裁が司法の裁判員裁判導入の目的、趣旨を自ら否定する従来の専門裁判官による判断、判例、量刑比較を判断基準とするものに回帰している。
そもそも人が人を裁く不条理(unreasonableness)の裁判の世界で、判例、過去の量刑比較はせめてもの裁判判断基準の公平、公正性を示すものではあるが、専門裁判官による法理論上の比較形式主義の中で、市民生活、感情、感覚での機微(表面にあらわれなくて容易にわからない微妙なことがら・事情ー辞典)を裁判審理に活かす司法目的が損なわれては裁判員裁判制度の意味、意義はないことになる。
(4)国会は5日の参院本会議で裁判員裁判制度が6年経過して、はじめて裁判員法を改正、成立させた。「審理が著しく長期に及ぶなど裁判員の確保が難しい場合、裁判官だけで審理できる」ことを柱とした(報道)改正裁判員法だ。
裁判員の負担、ストレス軽減を目指した改正である。これまでもインパクトの強い証拠場面の実写をイラストにしたり裁判員のストレス軽減の手立ては工夫されてきたが、証拠の加工はそれでは本来の証拠にもとづく裁判審理、判断による事実関係の解明、量刑判断には逆行するもので、やはり裁判員裁判の限界を示すものである。
(5)裁判員に配慮した①証拠の加工、②最高裁による判例、量刑比較重視による裁判員の判断否定に③専門裁判官だけで審理できる法改正と本来の裁判員裁判導入目的、趣旨は司法現場からの後退(go back)が顕著になってきている。
市民による裁判関与は検察審査会のような専門裁判官による判決のチェック機関としての役割がふさわしいと書いてきたが、裁判員裁判運用も根本から見直す必要がある。