(1)安保法制論議は俄然、政府・自民党と憲法学者(the government and a scholar in constitution)の応酬合戦に形を変えた。
衆院憲法審査会に自民党推薦の国会参考人として出席した憲法学者が粛々と安保法制案を「憲法違反」と論破してみせて、ことはどうなっているのかと通常の認識では理解できない事態になって、安保法制論議が「出発点」に立ち返ることになった。
(2)通常では自党の考えに理解のある専門家を国会参考人に推薦して有利なように自説を述べてもらうのが一般的なのに、政府、自民党の考えに反対の違憲論者でありながら自民党の推薦を受け入れて(まんまとかどうかまではわからないが)断りもなく自説の違憲論を国会審査会で述べて、自民党関係者もこのことに気づいていなかったという政治パロディだった。
こんなことがまかり通ることも不思議だが、多分自民党1強多弱時代の緩(ゆる)みで、今回の安保法制審議にとっては正にケガの功名であった。
(3)憲法学者の「違憲」判断に防衛大臣は「現在の『憲法』をいかにこの『法案』に適応させていけばいいのかという議論を踏まえて閣議決定を行った」(報道)と、まるで安保法制案が憲法の上位にあるかのような本末転倒、あべこべの発言をして、政府の憲法解釈の変更の「本音」をつい述べていた。
これを受けて合憲論の憲法学者が「国連憲章上、集団的自衛権は固有の権利で、国家存立のための自然権と位置づけられている。憲法は自衛権の行使を否定していない」(報道)と主張している。
(4)これもまるで国連憲章が一国の憲法を拘束して上位規範であるかのような見解発言だが、日本憲法第9条の国際紛争を解決する手段としての戦力を保持せずに、交戦権を有しないことに集団的自衛権が理論的整合性があるのかの判断であって、国連憲章上の理念の問題ではない。
国連加盟国が集団的自衛権の範囲によらない他国への軍事行動、戦争を実施してこれを正当化している現実を見れば国連憲章の正当性も危うく、これは自国の憲法がどう規定しているのかの自国の国是規範の問題である。
(5)合憲論の憲法学者の理論によれば、それでは憲法で戦力、交戦権を放棄した国は国連憲章の理念に反して加盟も出来ないのかというパラドックス論(paradox theory)にもなる。
与党協議で安保法制案を主導した自民党副総裁は「自衛隊ができた時にほとんどの憲法学者が『憲法違反』と言った。憲法学者の言う通りにしていたら(日本の平和と安全が保たれている)自衛隊も日米安保条約もない」(報道)と反論している。
(6)必要なら、それを国民が望むなら「憲法改正」して「合憲性」を維持すればいいのであって、無理な憲法解釈変更による安保法制案の存立過程が違憲であり問題だと指摘しているのであって、上記自民党副総裁の反論は的外れもはなはだしい独善的な主観論でしかない。
政府の憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使が憲法第9条の条文精神、理念に反していないのかの憲法問題だ。
衆院憲法審査会に自民党推薦の国会参考人として出席した憲法学者が粛々と安保法制案を「憲法違反」と論破してみせて、ことはどうなっているのかと通常の認識では理解できない事態になって、安保法制論議が「出発点」に立ち返ることになった。
(2)通常では自党の考えに理解のある専門家を国会参考人に推薦して有利なように自説を述べてもらうのが一般的なのに、政府、自民党の考えに反対の違憲論者でありながら自民党の推薦を受け入れて(まんまとかどうかまではわからないが)断りもなく自説の違憲論を国会審査会で述べて、自民党関係者もこのことに気づいていなかったという政治パロディだった。
こんなことがまかり通ることも不思議だが、多分自民党1強多弱時代の緩(ゆる)みで、今回の安保法制審議にとっては正にケガの功名であった。
(3)憲法学者の「違憲」判断に防衛大臣は「現在の『憲法』をいかにこの『法案』に適応させていけばいいのかという議論を踏まえて閣議決定を行った」(報道)と、まるで安保法制案が憲法の上位にあるかのような本末転倒、あべこべの発言をして、政府の憲法解釈の変更の「本音」をつい述べていた。
これを受けて合憲論の憲法学者が「国連憲章上、集団的自衛権は固有の権利で、国家存立のための自然権と位置づけられている。憲法は自衛権の行使を否定していない」(報道)と主張している。
(4)これもまるで国連憲章が一国の憲法を拘束して上位規範であるかのような見解発言だが、日本憲法第9条の国際紛争を解決する手段としての戦力を保持せずに、交戦権を有しないことに集団的自衛権が理論的整合性があるのかの判断であって、国連憲章上の理念の問題ではない。
国連加盟国が集団的自衛権の範囲によらない他国への軍事行動、戦争を実施してこれを正当化している現実を見れば国連憲章の正当性も危うく、これは自国の憲法がどう規定しているのかの自国の国是規範の問題である。
(5)合憲論の憲法学者の理論によれば、それでは憲法で戦力、交戦権を放棄した国は国連憲章の理念に反して加盟も出来ないのかというパラドックス論(paradox theory)にもなる。
与党協議で安保法制案を主導した自民党副総裁は「自衛隊ができた時にほとんどの憲法学者が『憲法違反』と言った。憲法学者の言う通りにしていたら(日本の平和と安全が保たれている)自衛隊も日米安保条約もない」(報道)と反論している。
(6)必要なら、それを国民が望むなら「憲法改正」して「合憲性」を維持すればいいのであって、無理な憲法解釈変更による安保法制案の存立過程が違憲であり問題だと指摘しているのであって、上記自民党副総裁の反論は的外れもはなはだしい独善的な主観論でしかない。
政府の憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使が憲法第9条の条文精神、理念に反していないのかの憲法問題だ。