(1)政府与党は24日に会期末を迎える今通常国会を9月後半までかってない大幅に延長(the extension of a session)する方針だ。安倍首相はかって1年中国会を開いて議員も「国民のため」に働くことを比喩的に(つまりは法案成立のため)述べていたから驚くこともないが、また一般国民同様に年間を通して国会審議で働くことは不思議でもないが、今回の大幅延長の狙いは安保法制案の確実な成立のためだ。
与党で3分の2以上を有する衆議院を法案が通過して、与党で過半数を維持していない参議院で否決されても、同法案を衆議院で再可決して自然成立させるための十分な大幅の会期延長だ。
(2)安倍首相は安保法制案国会提出に際して国民に十分説明して理解を得ると述べているが、現在の衆院特別委員会の論戦を聞いていると少しずつ政府の目論み、解釈拡大の現実が見えてきているが、国会会期をいくら大幅に延長してみても禅問答の応酬でわかりにくさあいまいさが増幅するばかりで、合憲か違憲かの日本の「基本理念の存立危機」にかかわる最重要法案が「数の力」と会期延長の「自然成立」で成立させるという政府与党の立憲政治、国の基本構成理論への不条理(unreasonableness)な挑戦だ。
(3)当事者の自民党幹事長は「(国会の議論を)しっかりできるよう会期を取って、平和安全法制を仕上げていく」(報道)と述べているが、その言葉どおりになるかどうかは定かではないが、国民にとっては暑い政治の季節(戦後70年談話、終戦記念日、辺野古埋め立て)を迎えて安保法制案への関心も高まる期待もあり、大幅な会期延長が政府与党の思惑どおりに運ぶのかはわからない「効果」もある。
国会周辺、各地では安保法制案反対の市民、学生集会も開催されて、地方議会では反対決議の表明も出始めている。
(4)会期の大幅延長によりこうした運動(a popular movement)、決議(resolution)が大きなうねり(undulation)となれば、政府与党とすればそれこそ「しっかり議論を積み重ねる」ことが求められて、あいまいな安保法制案の基準、実体の明確化、集団的自衛権の行使の限定論の範囲の明確化の必要性に迫られることになるだろう。
合憲か違憲か、自衛隊員のリスク増大、相手国の領域内での戦闘行動、同盟国の戦争に巻き込まれる危険、経済影響封鎖など問題は政府与党と野党の論戦が平行線のままで安保法制案の実体があきらかになっていない。
(5)集団的自衛権の行使として、ホルムズ海峡の機雷封鎖が日本への石油輸送に大きな障害となり経済損失を招くとして掃海作戦行動を想定しているが、これは旧日本軍が大東亜共栄圏と称してアジア経済の死守が日本の死活問題としてアジア侵略、植民地支配に走った要因ともいわれていることとよく似た背景理論だ。
安倍首相は戦後政治体制の見直しを主張しているが、それが戦前思想、ナシナリズムへの回帰であっては国際社会の理解は得られない。戦後70年談話が注目を集める所以(ゆえん)でもある。
与党で3分の2以上を有する衆議院を法案が通過して、与党で過半数を維持していない参議院で否決されても、同法案を衆議院で再可決して自然成立させるための十分な大幅の会期延長だ。
(2)安倍首相は安保法制案国会提出に際して国民に十分説明して理解を得ると述べているが、現在の衆院特別委員会の論戦を聞いていると少しずつ政府の目論み、解釈拡大の現実が見えてきているが、国会会期をいくら大幅に延長してみても禅問答の応酬でわかりにくさあいまいさが増幅するばかりで、合憲か違憲かの日本の「基本理念の存立危機」にかかわる最重要法案が「数の力」と会期延長の「自然成立」で成立させるという政府与党の立憲政治、国の基本構成理論への不条理(unreasonableness)な挑戦だ。
(3)当事者の自民党幹事長は「(国会の議論を)しっかりできるよう会期を取って、平和安全法制を仕上げていく」(報道)と述べているが、その言葉どおりになるかどうかは定かではないが、国民にとっては暑い政治の季節(戦後70年談話、終戦記念日、辺野古埋め立て)を迎えて安保法制案への関心も高まる期待もあり、大幅な会期延長が政府与党の思惑どおりに運ぶのかはわからない「効果」もある。
国会周辺、各地では安保法制案反対の市民、学生集会も開催されて、地方議会では反対決議の表明も出始めている。
(4)会期の大幅延長によりこうした運動(a popular movement)、決議(resolution)が大きなうねり(undulation)となれば、政府与党とすればそれこそ「しっかり議論を積み重ねる」ことが求められて、あいまいな安保法制案の基準、実体の明確化、集団的自衛権の行使の限定論の範囲の明確化の必要性に迫られることになるだろう。
合憲か違憲か、自衛隊員のリスク増大、相手国の領域内での戦闘行動、同盟国の戦争に巻き込まれる危険、経済影響封鎖など問題は政府与党と野党の論戦が平行線のままで安保法制案の実体があきらかになっていない。
(5)集団的自衛権の行使として、ホルムズ海峡の機雷封鎖が日本への石油輸送に大きな障害となり経済損失を招くとして掃海作戦行動を想定しているが、これは旧日本軍が大東亜共栄圏と称してアジア経済の死守が日本の死活問題としてアジア侵略、植民地支配に走った要因ともいわれていることとよく似た背景理論だ。
安倍首相は戦後政治体制の見直しを主張しているが、それが戦前思想、ナシナリズムへの回帰であっては国際社会の理解は得られない。戦後70年談話が注目を集める所以(ゆえん)でもある。