いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

格調の高い敗北演説。 magnificent losing speech

2016-11-14 19:43:16 | 日記
 (1)人は苦境に陥(おちい)った時に真価が問われる。米国大統領選でトランプ候補に敗北したクリントン候補は総得票率では上回り(報道)ながら、大統領選出制度の選挙人獲得数で下回り大統領には届かなかった。

 8年前の当時同じ民主党オバマ候補に当初優勢と伝えられる中で敗北し、今回もまた当初から優勢と伝えられる中での大統領選敗北であった。年令(69才)からいってこれが最後の大統領の道への挑戦であっただけに、また可能性も高かっただけに落胆も大きかったのではないのか。

 (2)しかし報道によると深夜に敗北の決まったその翌日(同日か)朝には夫とともに自宅近くの山に散歩に出かけ、すっきりとした悟り切ったような表情が印象の写真が公開されていた。

 そしてその後に行われたクリントンさんの敗北演説は格調の高い(magnificent losing speech)ものだった。
 「昨夜、トランプ氏を祝福し、国のために協力すると申し出た」(演説要旨報道)から始まり「この結果を受け入れ未来に目を向けなければならない。トランプ氏は私たちの大統領になる。広い心を持ち指導者としてチャンスを与える義務がある」として「これを見ている小さな女の子たちへ。皆さんは世界であらゆるチャンスを追い求め、夢を実現するにふさわしいということを、決して疑わないでほしい。」として、自らが挑戦した米国初の女性大統領としての「ガラスの天井」を打ち破れなかったあとを次世代に託す言葉を残した。

 (3)世界的な政治の流れとしての既成政治、政治家への不満、不信の台頭の中で、その影響を受けたとも見られるクリントンさんの敗北要因であったが、クリントンさんにも上述のように米国初の女性大統領実現に向けたあたらしい挑戦、既成打破でもあっただけに、戦略上の見誤りもあったのではないのか。

 大統領選中はトランプさんとの中傷合戦に終始して、トランプさんの選挙戦略に乗ってしまった結果の史上最低の大統領選というレッテルにクリントンさんのあたらしい挑戦が埋没してしまったようだ。

 (4)上述のような格調の高い演説、言葉で理念、主張、話を展開していればトランプさんとの違いが鮮明になって、勝敗はまた別にしても埋没するようなことはなかったのではないのかと思わせるクリントンさんの敗北演説の格調の高さだった。

 (5)その女性政治リーダーとして一足早く韓国初の女性大統領となった朴クネ大統領はアジア女性の時代をけん引するものと期待をしたが、当初は日本との歴史認識問題での対決姿勢を強めて国民の60%以上の根強い支持を集めていたが、今年になって長年の親友の民間女性への国家情報の流出、特定不正資金供与疑惑による政治の私物化が発覚して、支持率は5%とも直近では0%とともいわれる苦境に立たされている。

 この問題ですでに韓国大統領府が検察捜査を受けており、近々に朴大統領自身も検察から事情聴取されるという韓国史上(というより世界政治史上)前代未聞の事件となっている。

 (6)こちらは26万人規模の朴大統領退陣要求デモの中でも野党との関係改善を模索して、退陣の意向は示していない。
 自らが検察の事情聴取を受けることから、大統領として「いる」ことが検察捜査に有利になるとの強い判断もあるのではないのか。往生際の悪い(doesn't readily herself to fate)判断に見える。

 一時は60%以上もの高い支持を示してくれた国民に対して納得のいく説明をするまでもなく、政権維持を模索する姿はこちらはあわれでもある。

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