いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

TPP本質論。 essential theory of TPP

2016-11-02 19:27:12 | 日記
 (1)TPPの承認案、関連法案の衆院審議が大詰めを迎えたとの報道だが、国民にどれほどの情報開示がなされて関心の高まりを見せているのかはわからない。
 TPP交渉での日本の主な立場はコメ、牛肉、豚肉など農産物重要5項目の聖域のない関税撤廃を認めないこれまでの高い(輸入)関税維持で、国会決議までして交渉に臨んだ。

 この国会決議が守られたのかどうかが国会審議の焦点となっていた。コメの一部無関税枠が設けられたり、牛肉、豚肉のように農産物輸入関税を段階的に引き下げられるなどほとんど米国、オーストラリアの農産物輸出拡大の意向に沿ったものとなった。

 (2)これを受けて野党は「国会決議の義務を果たした品目はゼロだ」(報道)として批判を強めているが、政府は輸入量が一定水準を越えれば関税を一時的に引き上げる措置〔緊急輸入制限(セーフガード)〕を発動するとして、結果として国会決議は守られたと主張、説明(報道)している。

 政府の思惑どおりに動くのか、現実的貿易関係では米国、オーストラリアなどからの圧力が強まり権利としてはあってもセーフガードを発動できる保障はない建前論(political theory)でしかない。

 (3)TPP交渉では現実的問題として日本側の譲歩はあきらかであり、国会決議は守られなかったということだ。
 そもそも国と国との交渉で国益保護の余程のことがない限り、その交渉フリーハンドを縛るような国会決議をすること自体がおかしなことで、特にTPPを自由貿易拡大、将来の成長戦略として重視する政府の立場からはアクセルとブレーキを同時に踏むようなもので、非合理的で矛盾した論理だ。

 (4)国民に対してはTPPが発動された場合の具体的で現実的視野に立った経済、産業、社会の長期的動向、展望、効果を示す責任がある。
 今回のTPP国会論議、審議が国民的関心を呼ばないのは、政府、国会のそうした国民向けメッセージの希薄さが要因だ。

 TPP問題は直接将来の日本の貿易、経済、産業、社会構造、問題にかかわることだけに、本質論(essential theory)が基本で建前論などで政治的配慮としてとりつくろってみても仕方のない、意味のない問題だ。

 (5)政府、国会のTPP問題の取り上げ方、論議の仕方、説明、情報開示に齟齬(そご)がある。本来はこれまでの政府による農業の過保護政策からの転換により、そもそも潜在能力(potentiality)、国際競争力(品質、生産力、味覚)の高い日本農業の「自立」を促す機会のTPPであり、輸出産業にとっては関税撤廃により海外市場での公平で公正な競争力を保障する経済環境を整備するもので、高い輸出関税に苦労してきた日本の輸出産業の成長攻勢に応える自由貿易制度である。

 (6)TPP主導の次期米国大統領にはどちらがなってもTPP見直しまたは破棄を示唆しており今後の動向によっては予断を許さないが、日本国民に対するTPP影響情報開示の徹底は不可欠であり、不足している。

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