いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

トランプ効用の変革。 innovation by trump efficacy

2016-11-22 19:36:03 | 日記
 (1)中谷前防衛相が「日本国民は米国の存在にどれだけ関心を持っているのか。感謝の念は非常に希薄だ。」(報道)と述べて、だからトランプさんから「米国が日本を守るならもっと感謝しろ、カネを出せという発言につながる」(同)と説明してみせた。

 米国からすれば、見ればそうなるのだろうが、日本からすれば、見ればちょっと違うのではないのか。日本の前防衛相からそんな言葉がでるとは残念だ。
 そもそも日本政府も日米軍事同盟関係は応分の負担のもとに成り立っていると言っているわけだし、沖縄基地問題は日本国内(沖縄)の米軍による治外法権化に、米軍によるアジア、中東戦略の重要拠点化している現状をみれば日本は米国に感謝しろ発言は的を得ていない。

 (2)外交関係は一方的な力関係だけで成り立つものではなくて、互いに利益を共有し合うwin , win関係が原則だから、中谷前防衛相の米国に感謝しろ発言は時代錯誤の封建政治認識でしかない。

 安倍首相、政権の防衛、国防理念、政策は、日米軍事同盟関係をいつも都合よく解釈して強化の名のもとに自主国防力を正当化させようという、戦後71年の平和国家論を否定する考えだ。
 安倍首相、自民党がテーゼとする憲法改正、自主憲法制定も平和国家論の否定による自主国防国家(a state of assertive national defense)の復活の道筋だ。

 (3)米国、アジアほか外国政府からすれば戦前日本を想起させるもので、このままの道を進むならば米国をはじめ国際社会、政治からの警戒感は強まり、再び孤立国家の道へと進むことも想定されるものだ。

 トランプ次期大統領は米国が一方的な日本の防衛から手を引く代わりに、日本(そして韓国)も核兵器を持つことを容認するかのような発言を選挙戦中にしているが、こうした日本政府、政治の流れをよく理解していない証拠であり、したがって当選後には自らの政権準備構想の安全策の中でこの発言をしたことはないとさっそく軌道修正している。

 (4)トランプ次期大統領も日本の米軍基地の役割、重要性については勉強すればよくわかることであり(日本にとってはいたしかゆしのところではあるが)、今さら中谷前防衛相から米国感謝の言葉を向けられることでもない。

 むしろ平和国家論から自主国防国家への転換を目指す安倍政権の方向性が摩擦を生む危険性もふくらむトランプ発言のように思える。

 (5)米国政治はこれまで8年間の民主党オバマ政権に代わって共和党トランプ政権に移行して、当然のように政策転換、変更が進むことが考えられる。そこにこれまで政治経験のない従来の共和党主流とは無縁の対立するトランプ大統領の登場ということもあって、政治力学の方向性が定まらないこともあり得るだろう。

 しかし、いい、悪いにつけトランプ大統領の登場は米国政治そして経済、社会を(そして国際政治、経済、社会をも)変えるダイナミズム(dynamism)になることは間違いない。比較政治論としてそれも必要で、時代、社会の変革期にはあらわれる現象であり、パラドックス(paradox)としてトランプ政権の4年を経て今度はどんなあたらしい習熟した政治があらわれるのか期待感もある。

 (6)日本では弱小野党間で現実味のない政権構想を巡って思惑が錯綜している。こちらの方は国民的関心も薄く、とても時代と政治を変えるダイナミズムとはいかない。
 日本政治もかっては橋下大阪維新の会登場で第三極政治勢力として期待された時もあったが、自滅して以来安倍自民党一強時代が続く。

 米国トランプ現象(phenomenon)、世界的な既成政治への不満、変革志向の中で日本の野党にも若いスーパー政治家の登場が待たれて、いいにつけ悪いにつけ政治の関心を高める作用が必要だ。

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