圏域理論。 circle area theory

　(1)東日本大震災の東北被災地の復興を目指す時に、日本海側の震災被害をまぬがれた東北自治体の行政協力のもとに東北道州制により復興を進めるべきだと書いたが、ここにきてようやく政府は人口減少、過疎化の市町村の広範囲な広域行政協力構成体の「圏域行政」構想を打ち出して法制化を検討（報道）する。

　(2)大阪が再び進めている道州制は府と市の行政の重複解消にサービスの均一化をはかる財政健全化、行政効率主義、ムダ行政排除によるものだが、こちら圏域行政（administrative circle area theory）は人口減少、過疎化による地方自治体の広域圏行政協力、業務補てん体制を進めるものだ。

　(3)政府はこれまで特例法で市町村の合併を進めてきたが、期限切れに伴いより広範囲の圏域行政の法制化で地方の人口減少、過疎化対策を進めようというものだ。
　道州制につながるもので、そこまで自治体行政機構、機能、行政改革に向かわなくて従来の行政単位は維持しながらも行政組織の縮小化、効率化、圏域利益の共有化、サービス共通化で地方の人口減少、過疎化対策を目指すものだ。

　(4)耳慣れない圏域行政の概念も目的、意図は理解できても、構想、構造は具体性が見えてこずに最初から地方中核都市あるいは近郊都市を中核とした道州制を目指して行政革命を進めることがあるべき人口減少時代の地方の有り様だ。

　(5)東日本大震災は「ゼロ」からの復興であり、幸いに日本海側東北自治体に被害影響はなくこちらを中核として東北道州制による行政機構、機能改革を進める環境にありながら、政府はこれといった手を打たずに復興構想会議は高台避難のすすめという端緒的な提案に終わって大きな行政機構、機能革命理論を示せずに、結果として東北被災地の復興が進まない原因ともなっている。

　(6)このままの推移では２０５０年には今の地方自治体の半分はなくなるとの試算もあり、政府もようやく圏域行政を打ち出して法制化することで対策に乗り出した。
　少子高年令化対策も戦後の団塊世代の出現で将来的に予測されながら、歴代政権が適切で効果的な対策を打ち出さずに無作為行政で増え続ける社会保障費の財源不足を招いて、支給年令の先送り、支給額の減額に追われているだけだ。

　(7)地方の行政機構、機能革命はすでに緊急な政治課題である。