いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

自由主義の危機。 a crisis of liberalism

2020-10-12 20:06:57 | 日記
 (1)米大統領選候補者の直接対決、討論会という切羽詰まった身びいきを差し引いても、共和党トランプ大統領と民主党バイデン候補の討論会はルールがあっても無視されてトランプ大統領がバイデン候補の発言をたびたび(あるいは頻繁に)遮って話し続けて、メディアからは史上最低の大統領選討論会と酷評された。

 (2)こうしたトランプ流儀は予想されたもので、たとえばトランプツイッターでもあまりにもばかげたもの、一方的な主張の投稿にはネット配信運営媒体側が削除する強硬手段に出ているが、そこまではいかなくとも予想されたルール無視の討論会方式に対策、対応があってよかった。

 (3)既存の権威主義、支配体制に挑戦してこれを否定して自らの主張、価値観をつくりだすのがトランプ流であり、これまで政治的、経済的、社会的に恩恵が少なかった白人マイノリティの岩盤支持層に熱狂的に受け入れられた理由だ。

 民主党リベラルからはこれまでつくりあげてきた伝統の米国民主主義、理想主義の理念、基盤がトランプ流儀で崩壊して、ようやく下院で民主党勢力が過半数を得てトランプ大統領と議会との対決、対立が続く。

 (4)今回下院で民主党が大統領の職務遂行能力を判断するための超党派委員会の設置法案を提出するとした。一応はトランプ大統領を対象としたものではない(報道)としているが、コロナ感染したトランプ大統領が重症者用薬物を使用していることを念頭に正常な判断ができているのか疑問とする(同)政治的意図、戦略があるとみられている。

 (5)冒頭の討論会でのトランプ大統領の一方的な発言横ヤリ、割って入る発言が異常性の象徴だ。これに共和党上院院内総務はばかげていると同法案を無視する意向だ。トランプ大統領のあまりに行き過ぎた偏向(bias)姿勢に民主党議会は大統領弾劾裁判で対抗しようとしたが不完全燃焼に終わって、米国大統領は議会にではなく米国民に直接選ばれた存在なので議会の弾劾により辞任するということにはさすがにむずかしい立場にあるが、非常時に職務遂行能力の判断を超党派、医師などの委員会で協議するというのは憲法規定でも考えられることであり、今のトランプ大統領の行状、行動、発言をみていると考えられる判断ではある。

 (6)大統領選最終盤での共和党トランプ大統領に対する民主党優勢下院のあてつけ、批判、対決を鮮明にするもので(やむを得ない背景もあるが)、ここまでくると米国自由主義の危機(a crisis of liberalism)である。

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