いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

完全雇用と経営体力。 perfect employment and strength of management

2020-10-16 20:05:50 | 日記
 (1)日本の完全終身雇用制は社会保障の進んだ北欧で実施されているベーシック・インカム(basic income)の役割にも似て、それなりに社会、生活に安定、活力、ダイナミズム(dynamism)を支えていたと考える。一時期欧米からも日本の終身雇用制が見直され、評価された時代もあった。

 (2)戦後復興期の重厚長大型の製造業中心の労働社会、高度経済成長期では労働者を企業の歯車として活用し、その代償、保障として完全終身雇用制、給与も段階的、自動的に上昇する安心、安定社会だった。

 正規雇用が大原則で、企業雇用側の従業員手当負担も大きかったが、政府の公共事業による後押しもあり企業利益、経済成果が大きく高度経済成長につながっていく。

 (3)しかし高度経済成長を果して当時のGNP(国民総生産)世界第2位の経済国となると社会インフラ整備も一回りして、時代はグローバル社会、情報化社会に移り変わり、製造業中心経済社会からサービス、情報、IT社会に移行して労働者も個々の専門性が求められ重要となり、企業も正規従業員にこだわらずに専門性を担う補足する非正規、契約従業員を積極的に活用して、企業利益、成果をあげる効率、成果主義社会に目を向けるようになる。

 (4)世界はグローバル化により経済不況が同時多発的に拡大、進行して先の見えにくい経済状況の中で非正規、契約従業員は不況時の労働調整の便宜に使われて、正規従業員とは手当負担でも格差に甘んじてきた。

 日本社会は長いデフレ不況に見舞われて就職氷河期を経て正規従業員の採用が縮小され、価値観多様性社会の浸透もあり若い労働形態は非正規、契約志向が強くなり労働構成でも正規従業員と二分するまでに増えている。

 (5)政府は同一労働同一賃金を掲げて雇用、労働環境の公平、平等、シンクロ性を確保、維持しようとしているが、長年の労働、雇用制度の問題でなかなか企業、社会の取り組みは進まない。

 今回の非正規、契約従業員の手当格差訴訟の最高裁判決2例では、ボーナス、退職金不払いは完全雇用性、正規労働の応用対応性、付加性、企業の経営体力に配慮して「不合理とは認めず」、一方で年末年始勤務手当、扶養手当不払いは時期的労働必要性、目的対価性、生活保障を考え「不合理」と判断が分かれた。

 (6)企業の経営体力は維持しつつ、個々の手当では同一労働同一賃金を認めたものだ。

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