(1)アース・ウインド&ファイアー、シカゴ、レッド・ツェッペリン、クリームは世界的なフュージョン、ロックバンドで、複数人のバンド名でも固有名詞なので末尾に複数形(s)を使わない。ビートルズ(Beatles)は造語で、一説によるとBeetle(かぶと虫)をもじったものではなく、「Beat all」の造語で名付けたと書いた文献を見たことがある。ローリング・ストーンズなど普通名詞の複数人バンドはバンド名の末尾に「s」をつけるものが多い。
(2)「Tulip」は普通名詞で複数形の「Tulips」はあるが、財津和夫さん率いる5人のバンド名は「Tulip」だ。バンド名の由来について、財津さんは誰がつけたか記憶にないとしながら、目指すビートルズの自主レーベルの「アップル」(リンゴ)にちなんでつけられたとして、でも決まってみれば「アップル」と「チューリップ」は「プ」しか同じところがなかったと冗談でけむに巻いている。
(3)プロとして東京進出前の福岡アマチュア時代にバンド名「Tulip」はつけられているので、やはりメンバーからも財津さんがバンド名をつけたという説が衆目の一致するところだが、財津さんは記憶にないとしている。
仮に財津さんでないとしたら、福岡時代では当時RKBラジオディレクターの岸川均さん以外にはない。
(4)当時5人バンドだからといって「Tulips」としなければならないことはなくバンド名を5人一体としての「Tulip」として問題はないのだが、確かに「Tulips」では締まりのない響きで「Tulip」にはなるのだろうが、アップルはリンゴでチューリップは花で植物として近いがそれほど「Tulip」にこだわった訳は何だったのか、目指すあこがれの「ビートルズ」には似ても似つかないバンド名になった。
(5)花のチューリップは花弁が重なりあってしっかりとした結束力があり、色合いもきれいで英国ビートルズ同様欧州オランダの名花だ。財津さんも当時バンド名「チューリップ」は女性のバンドかとか幼稚園のバンドかとか言われたと面白おかしく言っているが、それでも他のメンバーから絶対反対の声が大きくなかったとしたら、そして50年も「Tulip」で音楽活動を続けてきたことを思うと福岡時代に応援してもらった強い恩義を感じての岸川説に分がある。
(6)財津さんとしては自らのつくりだす音楽に自信があったので、バンド名にはこだわりがなく、高みを目指す音楽と対極にあるバンド名「Tulip」をパラドックスとして楽しんでいたのではないか真相はわからない。
(7)そこで財津さんは十分に芸術肌で音楽の宇宙志向も強い先駆者であることから、バンド名はジュピター(jupiter)、マース(mars)、マーキュリー(mercury)、シューティングスター(shooting star)となれば、冒頭のビッグバンドと引けをとらない。