(1)安倍第2次政権でも政治とカネの問題で大臣の辞任が続いて甘利経再相、河井法相夫妻議員と世間を騒がせ、安倍首相自身に森友、加計問題、桜を見る会疑惑が国会で追及され続けたが、円安が株高効果を生んで景気、経済は比較堅調を維持して7年余の戦後最長の長期政権を維持した。
(2)岸田政権は1か月の間に政治とカネ、宗教、失言問題で3人の大臣が辞任(更迭)して、そのうち2大臣が岸田派所属で岸田首相の任命責任は特に重いものとなった。世論調査では岸田首相について「早く辞めてほしい」が43%と内閣支持率(31%)より高く、不支持率は62%と高止まりしている。
(3)こちらは石油高騰、急激な円安が多品目の物価高、一斉値上げにつながって国民生活を直撃しており、自民党議員を中心とした旧統一教会との深いつながりが政治問題となって岸田内閣への批判、不満、不信につながっている。
(4)1か月の間に3人の大臣が辞任するなどとは岸田内閣がまともに機能していないものであり、寺田前総務相については岸田首相がG20出席などアジア歴訪中に辞任の決断に迫られるという混乱、ガバナンス不足が露呈して、帰国早々に更迭するという不始末対応となった。
次々と疑惑、問題が指摘されるたびに記憶にない、調査すると言い、謝罪するくり返しで、どうしてこんな人たちが国会議員になり、大臣にまでなったのか、日本の政治の暗黒史だ。
(5)岸田首相は地元での来年5月のG7広島サミットを控えて、今ここで退陣というわけにもいかないのだろうが、岸田政権がこのまま内閣支持率の低迷、政治不信に物価高の国内情勢を乗り切れるのか、その力量は感じられない。
旧統一教会問題も本日からの質問権の行使開始で解散請求を目指す方針は打ち出したが、被害者救済法案は救済に踏み込んだものではなく、自民党議員と旧統一教会の深いつながりの影響を受けて足かせになっている印象だ。
(6)岸田首相は内閣機能不全、ガバナンス不足の窮地に追い込まれているが、今後失地回復があるとすれば国民の80%以上が解散を求めている(世論調査)旧統一教会問題で理路整然と毅然として被害者救済、旧統一教会の責任を問い直す(解散請求)ことができれば、国民支持回復につながる可能性は考えられる。
(7)残された時間は少なく、緊急課題の円安、物価高、一斉値上げの経済対策効果、来年の春闘賃上げ実現次第によっては来年5月のG7広島サミット後に解散総選挙で国民の信を問うしかないことになる。
(8)この政治状況で野党に国民の期待、政党支持率上昇につながらないとすれば、日本の政治は救いようのないカオス(chaos)を迎える。