(1)初戦で強豪ドイツに2対1で勝利した日本代表が2戦目コスタリカに0対1で敗北し、1次リーグ突破に天国から地獄の暗雲が立ち始めた。メディアは一斉に「日本痛恨の黒星」報道だ。
「痛恨」(deep regret)とは誰の、誰のための、誰に対する「痛恨」なのか意味がわからない。
(2)メディアにはよく考えてほしい。メディアが主語も形容詞も名詞もわからずに使って表現するのはどういうことだ。コスタリカに敗北した日本代表は懸命に戦ったことは実戦をみていればわかることで、負けようと思って戦って負けた訳ではない。
(3)日本代表にとって「痛恨」は一切なく、勝つべく努力をして勝てなかった「無念」(regret)があるだけで、「無念」でしかない。終了のホイッスルは、次の戦いのホイッスルともいわれて、「痛恨」などあるわけもなく、味わう暇もなく、日本代表はすでに次の戦いに向けて前を向いている。
(4)その紙面の裏をめくれば、政府は次世代原発の新増設、リプレース(建て替え)を推進する方針を固めたニュースだ。最長60年と定めた原発の運転期間を60年を超えて運転を可能とする新ルール案だ。
政府にとっては根拠も対策も不完全な空虚な原発神話をもとに原発政策を推進して、こちらは正真正銘の「痛恨」の福島第一原発事故を引き起こして、現在も全国に避難住民を残しており、原発新増設、リプレース、60年を超える運転期間延長推進こそは政府のあってはならない「痛恨の黒星」だ。
(5)こちらの「痛恨の黒星」は一発逆転の道はなく、40年以上の途方もない原状回復の道をたどるしかない、本当の悲劇だ。
(6)サッカーW杯カタール大会は1次E組は4代表国の一転混戦模様で、今後のそれぞれの結果によっては何がどう転ぶのかわからない展開で、今は残された可能性に期待するのが残された道で、日本代表のひとつの敗北を「痛恨」などと先読みすることはメディア報道の信条ではない。
(7)日本代表が何がどうなってチャンスが巡ってくる、抜け出すことがないわけではない。