いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

分断社会と児童虐待。 separative society and child cruelty

2019-02-11 20:21:27 | 日記
 (1)警察庁が児相に通告した児童虐待件数が統計(04年)を開始して初めて8万人を超えて最悪を記録した。政府は緊急に児童虐待対策の強化策、ルールづくりに着手すると発表した。
 近年両親などからの児童虐待の報道が増えて、冒頭のように統計史上最悪となった。

 原因と考えられるのが大家族社会から核家族社会に移行して、家族の中で親の行動に目が届く「大人」がいなくなったこと、いじめなど学校現場の荒廃による教育の劣化を経験したものが「大人」となってそのまま親になって、大人、親としての自覚、責任、能力を持たないものが増えてきたことが考えられるが、さらにその助長背景にあるのが格差社会、分断社会(separative society)の存在だ。

 (2)モラトリアム(moratorium)世代の若者の働き方がフリーター志向になり責任ある社会参画意識を持たずに成長し、一方では結婚をしない、望まない階層も増えて、他方では結婚して子どもが生まれて格差社会、分断社会のリスク、疎外感のはけ口をより身近の弱者の子どもに向かわせるという危機感だ。

 (3)安倍首相は昨年も児童虐待事件が起きて対策を講じたにもかかわらずに、昨年の教訓、対策が生きずに今年もまた痛ましい児童虐待事件を引き起こしたことに「幼い命を守れずに本当に悔やんでも悔やみきれない思いだ」と危機感(報道)をもって緊急の対策強化を指示したといわれる。

 しかし時代背景を考察すると前述のように教育的、学校現場の荒廃、大企業、富裕層優遇の格差社会、分断社会の影響の大きさが児童虐待増加の背景にあると考えられるので、解消しない、できない安倍首相、政権の政治責任の重さも無縁ではない。

 (4)今回の小4少女の虐待死では組織的に児相の対応に根本的な問題、欠かんがみられて救える命を救えなかった痛恨の事件であり、単に児童虐待件数の増加で対応に応えられない職員体制であるというような問題ではなく、児相の正義感、意識、判断、能力、コンプライアンス、責任、自覚、決意の欠如がもたらした痛ましい事件だ。

 (5)政府は児童虐待件数の増加、悪化を受けて児相相談員、職員の増加を決めて対応策としているが、それだけでは根本問題の解決には向かわないのは昨年の教訓、対策が実を結ばなかったことで実証されている。

 学校教育の健全化、正常化から格差社会、分断社会の解消に向けて政治が果たさなければならない方法論(methodology)はあり、見誤っては児童虐待の根本解決にはつながらない。

 (6)しかし統計史上最悪の8万人を超える児童虐待(child cruelty)には当面、緊急な対策が求められて、いじめ対策でも書いたが學校と親と行政(教委)が緊密な連絡、協議体制を築き、問題意識をまず共有することが肝要だ。

 

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半世紀の日米地位協定。 status of forces agreement between japan & usa in 47years

2019-02-09 20:14:54 | 日記
 (1)2月24日に辺野古移設の是非を問う沖縄県民投票が実施される。沖縄に駐留米軍基地の70%以上が集中する過重負担の解消を求めるものだが、沖縄には米軍基地にかかわってもうひとつ解消したいものがある。

 沖縄が事実上、米軍による治外法権化(extraterrytoriality)されている日米地位協定(status of forces agreement between japan and usa)の存在だ。沖縄では米軍人や軍属が公務中に起こした事件や事故は米側、米軍に管轄裁判権があり、身柄は日本側に引き渡されない。
 米軍関係者が沖縄で大事件、大事故を起こしても米軍に身柄は拘束されて、そのまま米国に移送されて処分はうやむやになるというケースも経験してきた。

 (2)沖縄県は政府に対して日米地位協定の改定を申し入れているが、事故現場に日本の警察権が立ち入る運用改善も協議はしているが米軍の同意は得られていない。
 米国の核の傘に国防、安全防衛がはかられている代償としての日米地位協定で、米軍基地の70%以上が沖縄に集中して事実上米軍による治外法権にある沖縄にとっては被害範囲、影響が大きくこれまでも重要事件、事故が集中している。

 (3)1945年大戦終結(敗戦)により沖縄は米国により占領されて、72年に日本に返還されたあと沖縄に駐留米軍基地の70%以上が集中して現在まで47年間も米国、米軍の事実上の治外法権下にある。

 占領時代はもとより、返還後しばらくは米軍基地、米軍関係者の存在、身分、安全保障の維持のために優先的地位の保障は必要かもしれないが、返還後47年も経過して日本は米国との軍事同盟国関係を築き上げて強化してきている歴史的事実を考えるならば、もう日本に駐留する米軍との不平等、不公正地位協定など見直されるのは必然的なことだ。

 (4)国内の外国大使館、公邸などは治外法権として日本の第一義的管轄裁判権は及ばない遵守義務はあるが、駐留米軍基地もそれに準じた取り扱いとするするべきだ。
 日本は米国とともにG7の主要メンバー国であり、自由主義、民主主義国家として米国と政治、経済、軍事でも価値、利益を共有する同盟国であり協力関係国である。

 国連でも自由、人権、平等、権利保障でそれに対抗する政治勢力、反対勢力、主義国に対して一致して対峙する協力関係国である。

 (5)強い同盟関係にあるその米国、米軍が戦後占領、返還後駐留の74年を経過してまだ不平等優先地位、身分保障の協定で日本に駐留することなど今や時代錯誤のおかしな不平等関係にあり、見直されないのは日本政府の怠慢、あるいは米国従属主義の結果であり、主権国家として国民生活の利益、権利を守れていないのは問題だ。

 沖縄に駐留米軍基地の70%以上が集中し、不平等地位協定が支配することについて、戦後74年(返還後47年)が経過していまだに敗戦国としてあるいは米国の核の傘に守られているという負い目の従属主義でもない。

 (6)トランプ大統領は米国第一主義で紛争地からの米軍の撤収も進める考えを示唆しており(一部には撤収開始)、日本の米軍も日本の財政的負担増を求めて米軍撤収を示唆したこともある。

 就任早々の政策でもない思いつきの発言ではあるが、駐留米軍基地の提供と地位協定の見直しは返還後47年経過してもはや利益が相反するものではなく、トランプ大統領との話し合い、協議で先が見えるのではないのか。日本政府の決断だ。

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統計の信用性。 credibility of statistics

2019-02-08 19:59:41 | 日記
 (1)厚労省の毎月勤労統計で今問題となっているのが、大規模事業所全調査のところ少なくとも04年から一部抽出事業所に勝手に変えて統計調査をしていたことにより実質賃金データに誤差が出ていることだ。

 これは景気判断でのGDPの伸び率や国民の雇用保険、労災保険などの給付額に影響して、景気拡大、過少給付問題を引き起こしているから大きな問題となっている。

 (2)これを受けて「統計」(statistics)は国の政治、経済の根幹をなすもので重要なものだとの認識が広がっている。そのとおりで人口調査も含めて国、国民、経済、社会構成、構造が不正、いいかげんなものであれば、財政、金融、労働、社会保障、医療など国民生活にかかわり何が適切で有効、効果、必要であるのか、国の未来展望、国家像を見誤り混乱を招くことになる統計の正確性の必要性だ。

 しかし一方で「統計」が国の根幹をなすものだとしても、すべてが正確無比のデータに基づいて実体運営されているのかといえばもちろんそんなことはない。

 (3)今問題となっている勤労統計不正により実質賃金の伸び率が6か月マイナス(政府)だったのか9か月マイナス(野党試算)なのかの問題が国民給付額にかかわる意味のないこととは思わないが、前述したように将来の実体国家像把握として解明されなければならない問題ではある。

 かといって国の政治ではすべてが合理的に行われているかといえば、消費税はすべての国民消費者から徴収するが年収一定収入以下の事業所には消費税収入分を納税しなくてもいい(免除)ことになっており、支払った(徴収された)国民消費者からすればその分は返還してほしい不公平、不合理性が残る。
 そこで政府は消費税10%引き上げに際して還元財源としてこれまでの消費税納税免除事業所に徴収を課すことも検討している。

 (4)事業収入調査でも、飲食業界では購入した商品と使用した(提供した)商品が合致することを確認することがむずかしい事情もあり、消費したことにして差額を自己利益にする手法も聞く話で、大規模収入事業所対象に仕入れと消費額の照合で脱税が発覚するということはあるがすべての事業所を対象に調査などできずに不公平性、不合理性はある。

 実体統計は求められるところではあるが、すべてがそうできるというわけでもない。

 (5)今問題となっている毎月勤労統計も大規模事業所だけが全調査対象なのかわかからずに(多分企業全体の数パーセントで把握しやすい)、日本企業の大半を占める中小企業の同統計はどうなっているのか実質賃金のデータといいながら正確無比、公平というわけにもいかないものだ。

 不正は不正として解明されなければならないが、統計が国の根幹という理念、理論について完全主義でないことも理解しておかなければならない。

 

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ロシアの主権論。 sovereigntry theory of restoration in russia

2019-02-07 20:04:18 | 日記
 (1)北方4島問題、ロシアは日本側に対して戦後法的(ヤルタ協定)にロシア領になったことを認めるよう迫る中で、日本が北方4島は日本固有の領土と主張して正面からぶつかり合っても交渉は進展しない。

 そこで安倍首相は日ソ共同宣言にもられた平和条約締結後に歯舞、色丹2島を日本に返還することを踏まえて2島返還+極東経済活動協力の方針に転換してプーチン大統領と会談を重ねている。

 (2)プーチン大統領も一時、引き分け論として2島返還を示唆する発言もしていたが、最近のロシ側の態度、主張はラブロフ外相が実務者(外相)協議で冒頭のような強硬姿勢を主張して領土返還には応じない構えをみせている。

 プーチン大統領は2島返還にあたっても「主権」(sovereigntry)問題は残るとして、あくまでロシアの法律に基づく統制管轄権権にこだわる姿勢を示したといわれる。
 日ソ共同宣言から後退して北方4島が戦後法的にロシア領になった主張に添った姿勢だ。

 (3)安倍首相も通常国会が召集されて北方4島問題について日本固有の領土という発言を控えるようになって、ロシア側を刺激しない配慮がみられる。
 直近の世論調査では2島返還+経済共同活動の考え方、方針に賛成46%と反対36%を上回る結果となった。

 領土問題は国の主権、権利が及ぶ基本的な問題なだけに、方法はどうであれ一旦他国に編入、統合されれば容易には返らない、返さないむずかしい問題なだけに、ものわかりのいい小市民的国民意識(the petite bourgeoisie)の現在の国民にとっては2島返還だけでも返ってくるなら十分だとの認識が高いとみられる。

 (4)しかしロシア側は北方4島の名称変更を日本側に求めて、主権問題は残るとして北方4島はロシア領との強硬姿勢を示しており、2島返還も簡単ではない。
 プーチン大統領の「主権」主張もあって、さらにロシア国内での領土返還に反対する国民行動も伝えられて、ロシア側は長期交渉の構えをみせている。

 安倍首相としてはあと3年の任期中での領土問題の解決を目指してプーチン大統領との会談に意欲を示しているが、今のところはロシア側のペースで足元を見られている経過だ。

 (5)もちろん何もしないでロシアの出方をみているだけでは、ロシア側の主張のとおり北方
4島返還は叶うものではなく、事あるごとに北方4島は日本固有の領土であり戦争によって不法占拠されたものだと主張することは必要だ。

 ロシア側としては仮に2島だけを日本側に返還したとしても、そこに米軍が進出して沖縄のように米軍基地化されることを警戒しておりそこでのプーチン大統領の返還主権論(sovereigntry theory of restoration)の展開だが、最近の米露INF離脱による核開発競争再燃激化により北方4島返還のシナリオ環境はさらに厳しさを増したとみられて、日本側にとってはむずかしい、厳しい事態、側面を迎えたといえる。

 (6)日ソ共同宣言に立ち返って冷静に時間をかけて理論的段取りを踏んで、北方4島返還問題を話し合う、交渉する姿勢、決意が求められる。
 日本側があせればロシアペースの思うツボになる。
 

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空洞化議論。 cavernous debate

2019-02-06 20:05:41 | 日記
 (1)政府が戦後最長の景気拡大と胸を張った途端の厚労省による毎月勤労統計の不正発覚で、賃金上昇による戦後最長の景気拡大が意図的につくられたものなのか、通常国会の予算委員会の審議では実質賃金(名目賃金から物価変動+-)伸び率に関して政府は「昨年1~11月のうち6か月マイナス」としているのに対して、勤労統計不正を受けて野党は独自試算で「9か月はマイナスになる」として統計の誤差を主張してアベノミクスによる賃金上昇、景気拡大はつくられたものと指摘した。

 (2)安倍首相は「総雇用者所得は名目も実質もプラスで推移している」として、かみ合わない議論で答えた。
 戦後最長の景気拡大といわれても国民消費者の70%以上は「実感」していない、できない(世論調査)と回答しているのだから、実質賃金の伸び率が「6か月マイナス」だったのか「9か月マイナス」だったのかなど国民消費者にとってはどうでもよい統計上の不正、景気判断の問題であり、対象者2000万人といわれる追加給付の回復に全力をあげるとともに厚労省統計業務の構造改革に国会が全力を傾ければいい。

 (3)厚労省は政府機関の機構見直し改革で厚生省と労働省が統合したものだが、年金、保険、医療、福祉から雇用、労災、賃金まで幅広い業務管轄で一大臣で目配りができるのか問題もあり、二大臣制も指摘されたこともある。

 大臣だけを増やすことは財政健全化の政府機関の業務省力化時代に逆行するもので、しかし近年でも厚労省の「消えた年金」問題で不祥事が大きな社会問題となり、今回の勤労統計不正問題で再び同様の雇用保険、労働保険などの過少給付が遡(さかのぼ)るという重大問題を引き起こしている。

 (4)GDPの景気判断の基本データとなる賃金伸び率にかかわる統計業務を担当する専門知識を持つ担当者が不足していることが指摘されており、今回の毎月勤労統計不正でも大規模全事業所対象の調査統計を一部抽出事業所調査に勝手に変更して実質データから傾向データに変えて統計学上の法則を加味しないズサンな統計処で長年にわたって賃金上昇率を高めに設定してきたことがわかっている。

 (5)累積国家財政赤字が1000兆円を超えて財政健全化が求められる中で小さな政府、政府機関の統合、省力化がはかられたものだが、統計は国、経済の指標を示す根幹をなし国民の給付にかかわる基本重要データとなるものだけに、厚労省を厚労統計省として改革し労働省を国土労働省に統合するぐらいでどうか。

 (6)国会審議のマイナス6か月なのかマイナス9か月なのかの実質賃金伸び率がプラスかマイナスかの議論は勤労統計不正の解明に向けて道筋として必要な論議ではあるが、戦後最長の景気拡大といいながら国民消費者の70%以上が「実感」していない、できない原因について政府、国会には現実的な説明が求められて必要だ。

 国会審議、議論の「空洞化」(cavernous debate)をみせられるだけでは進歩がない。

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