ひびレビ

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舞いあがれ! 第1週「お母ちゃんとわたし」

2022-10-08 07:45:27 | テレビ・映画・ドラマ
 というわけで今週から始まりました連続テレビ小説「舞いあがれ!」、その第1週目の感想です。以前書いたとおり、めっちゃ久々の朝ドラだったのですが……いやはや、第1週からとても良いものを見せてもらいました。

 主人公・岩倉舞は東大阪に住む小学生。時折原因不明の熱に悩まされることがあり、医師からは環境を変えた方が良いのではないかと言われていた。
 舞の母・めぐみは、舞の父・浩太が営む町工場の経理をする傍らで家事もこなす中で、心身ともに疲労が蓄積されていた。そんな彼女と舞を気遣い、浩太はめぐみの故郷・長崎県の五島列島に住む祖母・祥子を尋ねるように勧め…


 といった感じで始まった第1週からは「助走をとても丁寧に描いている作品」という印象を受けました。次の段階に進むにあたっての過程がしっかりと描かれているために展開に不自然さや唐突さが感じられず、登場人物の想いが心にスッと入ってきますね。
 そういった描写の丁寧さが顕著に感じられたのは、第3回で舞に上着を着せるシーンです。何気ない日常の一幕であり、何なら船上から場面転換した際に着ていても「寒かったから着たのかな」ぐらいに推測できそうなものです。ですが、こうした一幕が描かれることで「岩倉舞を主人公としたドラマ」ではなく「岩倉家の日常」となり、登場人物をより身近に感じられるため、とても良いシーンだったと思います。

 本作の登場人物は舞をはじめ、相手の言葉や心に敏感な人々が登場していました。第1週のサブタイトルが舞主体の「わたしとお母ちゃん」ではなく、めぐみ主体の「お母ちゃんとわたし」となっているのも、母親の顔色を窺っていることを示唆していたのではないかと。
 相手の感情の機微に聡い、というのは時に助けとなる一方で、悪意を必要以上に感じ取り過ぎてしまうこともある。また、時には互いに互いを思いやるがあまり、自分の意思を押し殺してしまうこともある。相手の意思を確認したつもりでも、実は相手が自分に合わせてくれていた……そんな、優しさ故の人づきあいの難しさも描かれていました。



 登場人物個別の話をしますと、まずは舞ちゃんが初週から涙腺を刺激してきて困ります(苦笑。特に第3回のけん玉と、第5回の別れのシーン!何なんすかあれ……あんな素敵なものを渡されたら一生大事にするに決まってるじゃん……
 そして母との別れのシーンでは、母への強い想いが伝わってきました。人一倍気持ちに「繊細」である舞ちゃんですが、この時の彼女からは「繊細」から連想される脆さや儚さといったものは感じられず、確かな強さが感じられました。また、祥子さんのジャムづくり?に興味津々なほか、タコに恐る恐る何回も触れてみたりと好奇心の旺盛さも描写されていましたから、五島での暮らしが彼女をどのように成長させていくのか楽しみですね。
 他にも「大事な話がある」と言われた際に、きちんとめぐみの方に体を向けて話を聞いていたりと、行儀の良さが伺えます。手を前で組む姿も可愛らしかったですね。
 
 母・めぐみさんは表情がとても印象的で、心をキュッとさせられるシーンが多かったです。第2回でうっすらと笑みを浮かべたままぼんやりする様子からは相当な疲労が溜まっていたのが伺えますし、その後明かりをつけずに洗い物をするしていたのは、誰かがやってきても自分の顔を見られないようにするためだったのではないかと。
 五島に着いた際にも、久々の母との再会に緊張しつつも舞には笑顔を見せて不安を取り除こうとするなど、至る所で周りに心配をかけまいとする彼女の頑張りが伺えます。
 一人であれもこれもと頑張ろうとしていためぐみさんですが、祥子さんから「舞が自分の顔色をうかがっている」ことを教えられた時のショックは如何ほどだったことか……思い当たる節がいくつもあったけれども、気づけなかった後悔のほどは、夜の湊で思い悩むシーンから痛いほど感じられます。それでも舞のためを想って身を引く決意を固めた彼女も立派でした。

 祖母・祥子さんもまた、めぐみさんと同様に久々の会話や再会の際には、相当緊張している様子が伺えましたが、一方で付き合いのある木戸さんやさくらとの会話では舞を孫として嬉しそうに紹介していたのも印象的です。
 また、祥子さんは2人が五島にやってきた時から「舞はどう言っているのか」と舞の気持ちを確認していました。それと同時に彼女が元気に笑う様と、気持ちを押し殺す様を見ていたからこそ、めぐみさんにズバッと言ってのけたのでしょう。しかも舞がいる場所で。舞が自分の気持ちをきちんと言えるようになるためには、知っておくべきことだと思ったからこそ、あの場で告げたのでしょうね。

 父・浩太の祥子さんへのフォローが無ければ、関係を改善するのにもう少し時間を要していたかもしれません。めぐみさんの疲労を察して五島に行くことを勧めたのも、祥子さんに近況を連絡していたからこそ、力になってくれるはずだと信じていたのでしょう。頼りになるお父さんです。
 そもそも二人が何故駆け落ちをするに至ったのか、めぐみさんが大学を中退までしなければならなかったのは何故か。その理由も今後明かされていくのでしょうか?

 兄・悠人は中学受験を控えていることもあって大分ピリピリしているようでしたが、それでも舞が出発する際には食事を中断して見送りに行こうとするなど、優しい兄としての一面をのぞかせていました。

 東大阪のクラスメイト・貴司はお隣さんということもあり、舞を気遣ってか一緒に下校する様が描かれていましたし、同じ飼育係の久留美は舞ちゃんが旅立った後にウサギを「スミちゃん」と、舞ちゃんが呼んでいた名前で呼び始めるのが良いですね……単にウサギの世話を任されたのではなく、大切な友人を任されたと自覚しているように思えます。
 五島のクラスメイト・一太はとにかく明るくて、朝から元気がもらえますね!笑顔がとても印象的な男の子です。ただ元気なだけではなく、舞の体調のことを知ったこともあり、磯に行く朝には「行けそうか?」と気遣ってくれたり、クラスメイトの耕平がオコゼを踏んでしまった際にもいち早く叫んで周囲に知らせるなど、頼もしい一面も見せてくれました。

 そしてまさかのナレーション。朝ドラではよくあることなんでしょうか?


 といった感じで、想像以上に楽しめた「舞いあがれ!」第1週でした。次週はおばあちゃんとの五島での暮らしが本格的にスタート。予告を見るに、妊婦さんを助けるために走ったことで大勢の人から感謝され、トラウマを克服する流れでしょうか?
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