とうとう、この日が来たが。残念だ。77歳か。しょうがないか。
晩年の田村正和演じる眠狂四郎を観たが、息絶え絶えだった。何を言っているのか聞こえづらい。限界だなと思っていた。そして田村正和は黙って引退した。見事な引き際だった。
私にとって「田村正和=恋愛ドラマ」です。田村正和は恋愛ドラマでなくてならない。
でもなぁー、60歳を超えたら田村正和でさえも、流石に恋愛ドラマは違和感あるよなぁー。
昔の田村正和のドラマって、中々観る機会が無いです。テレビ局でテープが無くなっていたりして。
私が特にもう一度観たいと思っているのは、人気だった金曜ドラマの「土曜 日曜 月曜」。もう40年も前のドラマです。
ストーリーは、貿易会社社長の高橋昌也は先妻を亡くした後、秘書の浅丘ルリ子と結婚。しかし、高橋昌也は若い秘書と不倫をする。浅丘ルリ子も年下の人気建築デザイナーである田村正和と不倫。それを避暑地の軽井沢??で繰り広げるドラマだったと記憶しています。
その時の田村正和は36歳の設定。何時も白いパンタロン??を履いている。
クルマは白いオープンのクラシカルな大きなジャガー。何と自動車電話が装備されている。
今では考えられないですが、デラックスな白い受話器を片手にジャガーを走らせながら、浅丘ルリ子と不倫の会話をしているシーンばかり出てきます。
いくら何でもそんな目立つ事するなんてありえないと、当時の私でも違和感を感じてました。
そしてとうとう不倫がバレる。浅丘ルリ子は田村正和との別れを決意する。田村正和は別れたくない。
「まだ若いんだから、若い女性を見つけて幸せになりなさい」と諭す浅丘ルリ子。
「僕はもう、若くないですよ」と鼻声で食い下がる田村正和。
しかし、浅丘ルリ子の決意は揺るがない。最後は「はうぅぅぅーーん」と悶え苦しみながら、浅丘ルリ子を諦める田村正和。
そして田村正和はジャガーを走らせ、何故か若い女性が大勢いる場所にジャガーを止め、女性達をナンパし始める。
しかし、誰も田村正和に靡かない。逃げられてばかり。その姿を女性達に嘲笑される。
「こんな筈はない」と愕然とする田村正和。それで終わったと思います。
あんまりだと思いました。田村正和はモテなければならない。あんな終わり方を田村正和にさせるなと思いました。
でも、今思うと田村正和は青年から中年になった。中年が白いパンタロンを履いて恋をする。ナンパをする。滑稽。
中年になった男は田村正和であっても哀れ。中年になったら不倫なんかするなと原作者は言いたかったのでしょう。
当時の36歳は完全に中年。確かに中年になったら恋はお仕舞い。そんな時代でしたから。
その後、コメディータッチのドラマも出ていますが、このドラマ、田村正和の分岐点だったと思います。
このドラマを演じたからこそマンネリにならず、長く主役を務められた。記念になった名作だったと思います。よく覚えてはいないけど・・・・・。
まっ、それは兎も角、残念だ。田村正和を演じられるのは、田村正和しかいない。田村正和ほど注視してしまう俳優はいない。現実に存在しないような妖精の様な俳優だった。
時は無常に流れている。皆、歳を取り死んで逝く。本当に本当に残念だ。
ではでは。