続きます。
鳥海山頂上に鎮座する大物忌主神社では、大物忌主を豊受大神としています。しかし、荒雄川神社は暴れ川である荒雄川の神である筈です。水神であり川神でなければおかしい。
鳥海山は活火山。火山口はこの世と地獄の境界線。その事を考えると豊受大神を祀る点に疑問が生じる。
豊受大神は豊穣の神です。稲を中心とした食物の神です。その食物の神が鳥海山の頂上に祀られているのはおかしい。山頂では食べ物は取れない。境界線の神が豊受大神の名で隠されているのではないのか。
瀬織津姫の名を民間の人々に広めた故・菊池展明氏は「大物忌主は瀬織津姫である」と語っていたらしいですが、私も同感です。
荒雄川神社に大物忌主と瀬織津姫が祀られている。荒雄川神社でこの二柱が祀られているからこそ、大物忌主は瀬織津姫であると思えます。
ここで話を少々変えます。鳥海月山両所宮では鳥海山の神として倉稲魂命を祀っています。倉稲魂命と豊受大神は共に食物の神です。同神であるとも言われてます。
実は鳥海山には妖怪であり悪心とされる手長足長が現れるのです。
そこで倉稲魂命は三本足の鵺に銘じて、手長足長が現れたら「有や」。いない時は「無や」と鳴かせ、人々に知られていると伝えられています。
手長足長は東北では多くの伝承を持つ神です。
会津磐梯山の手長足長は、足長が天空の雲を集め、手長が猪苗代湖の湖水を掬い暴風雨を起こす悪神とされています。つまり手長は水神、足長は風神(太陽神)と考えられます。
そして磐梯山の手長足長は、空海の挑発に乗って小さくなった時に瓶の中に入れられて封印された。
それでも手長足長は会津磐梯山の山神には変わりません。だから磐梯明神として祀られています。
私はかねてから手長は瀬織津姫であると語っていますが、手長足長はもう一つの神名として手名稚命・足名稚命を上げます。
二柱は大山祇神の子ですから山神です。そして山から川が流れる。故に山神の子は水神と考えられている。
私、前々から手名稚命・足名稚命には疑問を持っています。
手名稚命・足名稚命の老夫婦は毎年、自分達の娘を八岐大蛇の生贄として捧げていた。そして最後に残った八人目の娘は櫛稲田姫。つまり手名稚命・足名稚命は10人家族なのです。
手の指は10本。足の指も10本。そして手名稚命・足名稚命は10人家族。
「テナヅチ・アシナヅチ」の「ヅチ」は蛇の意味です。山神・大山祇神の子なのですから、蛇神で間違いない筈です。
では何故、同じ蛇神である八岐大蛇に娘を生贄に捧げていたのか。
私、この素戔嗚尊の八岐大蛇退治の話は大嘘だと考えます。
10本指の手。10本指の足。その指の股は八つ。
つまり八岐大蛇は手名稚命・足名稚命。素戔嗚尊は手名稚命・足名稚命の国を襲った侵略者。
日本の地主神である国津神である手名稚命・足名稚命を天津神・素戔嗚尊が襲った。それを誤魔化す為に手名稚命・足名稚命は、八岐大蛇に仕立てられたのだと考えます。
続く。