続きです。話を黄泉の国に戻します。
逃げる伊弉諾尊。追う伊弉冉尊。二人は黄泉の国の出口である黄泉比良坂で対峙する。そこに菊理姫が現れた。菊理姫とは一体何者だろうか。
私は伊弉諾尊と伊弉冉尊のそれぞれの話を聞いたからキクリヒメと発音していますが、伊弉諾尊と伊弉冉尊の縁を取り持ったからククリヒメと読む人もいます。
私的には伊弉諾尊と伊弉冉尊は最後、喧嘩別れしているので、二人の仲を再びククリつけたククリヒメと呼ぶのは違和感があります。
それは兎も角、菊理姫とは何者なのか。
私的には黄泉比良坂と言う、この世とあの世の境界線に現れた神なので、境界線の神であると断言します。
そして伊弉諾尊に何かを囁いた。これは伊弉諾尊よりも上位とは言いませんが、知識がある神だと言えます。
しかし、最初の死者は伊弉冉尊なのです。何で黄泉比良坂に現れたのか。伊弉冉尊の一霊四魂の神なのか。
現世の伊弉冉尊は和魂だと考えられる。怒って伊弉諾尊を追いかけて来た姿は荒魂。黄泉醜女を呼んだのは奇魂。そして伊弉諾尊に何かを囁いた菊理姫の姿は幸魂になるのか。
黄泉比良坂。坂の境界線は谷。谷は川が流れている。だとしたら菊理姫は水神であり、川神ではないのか。
菊理姫は白山信仰の女神として知られていますが、修験者・泰澄が白山で瞑想をしていた時、十一面観音の本地垂迹である九頭竜王が現れて、自分を伊弉冉尊の化身である白山明神・菊理大菩薩であると名乗っています。
仏教や修験道と神道は違います。それを肯定してしまえば、菊理姫も伊弉冉尊もインドのコブラになってしまいます。インドからニョロニョロと地を這ってやって来たなんて私は信じません。
しかし、その話を一部肯定するのであれば菊理姫は伊弉冉尊の一霊四魂の神であると考えられますが、そうなると何が何だか訳ワカメになってしまいます。今回はその話は置いときます。
白山信仰は加賀、越前、美濃に跨る白山の山岳信仰です。雪山だから白山なのでしょう。
私は以前、白山は吐く山。山が吐くのは溶岩か泉であるが、白の字を当てている点を考えてみると泉ではないかと考えました。
そして白山は長良川、手取川、長良川の水源となっている。その川が水神・農業神として崇められている。
そう考えると菊理姫は水神・川神と考えられます。
続く。
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