平成30年3月17日 時事通信トップインタビュー
岡山県新見市 池田一二三市長-「課題先進地」を強みに
岡山県北西部の中山間地域に位置し、高齢化率約4割の岡山県新見市。
初の女性市長として2016年12月に就任した池田一二三市長(いけだ・ひふみ=64)は、「市は人口減少、過疎化という課題先進地。この弱みを強みとして使って、市民と協働したまちづくりを進めていく」と意気込む。
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地元大学と連携した看護、教育事業や、市民を巻き込んだ活性化事業を展開し、「他がまねできない」地域づくりを目指している。
人口3万人台の維持を掲げるが、830の自治会組織のうち約3割が、高齢者が半数を超え共同生活を続けることが困難な「限界集落」となっている。
買い物や通院が難しくなり、住民同士のつながりも弱まる中、「生活を維持できるような仕組みづくりが必要」と語る。
その一つとして18年度から着手するのが地域コミュニティーと地元大学との連携を柱とした「新見市版地域共生社会」の構築だ。
全35地区で形成を目指す「小地域ケア会議」を最小単位として、交流の場の設置や足りない生活支援サービスの聞き取りなどに力を入れる。
地域と行政のパイプ役となる担当職員44人を12の支所に配置する他、住民らの課題解決を支援する交付金を支給し、地域の主体的な活動を全面的にサポートする。
また、看護や地域福祉、幼児教育学科を持つ新見公立大・短期大との連携も進める。
19年度から短大が4年制となることを契機に、就学前教育や相談支援を目的とした「教育支援センター(仮称)」を設立する。
市内の幼稚園や保育所に学生が実習に入るなどし、実効的なカリキュラムを組む予定。
将来的には発達障害児への支援にも力を入れていく方針だ。
子育て分野で大学との連携を強める理由は、他自治体との差別化だ。
少子化の中、子ども医療費の無料化や保育料減額などの施策は珍しくない。
「(金銭支援は)競争になってしまっている。
今度は質の方にシフトしていきたい」と意欲を見せる。
看護や地域福祉学科でも福祉施設や病院での活動を取り入れ、「市全体を大学のフィールドとして活用する」体制を整える。
地域に学生が入り込むことで活性化を狙う一方、住民の提案を引き出す取り組みも行っている。
17年度から始めた「オール新見!公募型まちづくり事業」では地域資源の活用や移住に向けた住民発の事業が芽を出し始めた。
提案団体の「にいみ木のおもちゃの会」は、市内のヒノキで作った子ども用おもちゃを使い、大学や保育所と連携した「木育」に取り組んでいる。
市は、面積の86%を占める森林資源を活用しようと、18年度から木材業者と共におもちゃなどの木材製品の開発を行う事業を始める方針。将来的には、誕生祝い品として市民に配ることも考えている。
「行政ではできない発想が出てきている。
一つ一つはまだ小さいが、だんだんと広がってくればありがたい」と期待を寄せる。
〔横顔〕
岡山県倉敷市出身。
市議会議員を約10年務め、16年に市長就任。
「あせらず、おごらず、あきらめず」を信念に、2年目の市政運営に取り組む。
〔市の自慢〕
伝統ある黒毛和牛の千屋牛やピオーネなどの高級食材「A級グルメ」。
岡山県新見市 池田一二三市長-「課題先進地」を強みに
岡山県北西部の中山間地域に位置し、高齢化率約4割の岡山県新見市。
初の女性市長として2016年12月に就任した池田一二三市長(いけだ・ひふみ=64)は、「市は人口減少、過疎化という課題先進地。この弱みを強みとして使って、市民と協働したまちづくりを進めていく」と意気込む。
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地元大学と連携した看護、教育事業や、市民を巻き込んだ活性化事業を展開し、「他がまねできない」地域づくりを目指している。
人口3万人台の維持を掲げるが、830の自治会組織のうち約3割が、高齢者が半数を超え共同生活を続けることが困難な「限界集落」となっている。
買い物や通院が難しくなり、住民同士のつながりも弱まる中、「生活を維持できるような仕組みづくりが必要」と語る。
その一つとして18年度から着手するのが地域コミュニティーと地元大学との連携を柱とした「新見市版地域共生社会」の構築だ。
全35地区で形成を目指す「小地域ケア会議」を最小単位として、交流の場の設置や足りない生活支援サービスの聞き取りなどに力を入れる。
地域と行政のパイプ役となる担当職員44人を12の支所に配置する他、住民らの課題解決を支援する交付金を支給し、地域の主体的な活動を全面的にサポートする。
また、看護や地域福祉、幼児教育学科を持つ新見公立大・短期大との連携も進める。
19年度から短大が4年制となることを契機に、就学前教育や相談支援を目的とした「教育支援センター(仮称)」を設立する。
市内の幼稚園や保育所に学生が実習に入るなどし、実効的なカリキュラムを組む予定。
将来的には発達障害児への支援にも力を入れていく方針だ。
子育て分野で大学との連携を強める理由は、他自治体との差別化だ。
少子化の中、子ども医療費の無料化や保育料減額などの施策は珍しくない。
「(金銭支援は)競争になってしまっている。
今度は質の方にシフトしていきたい」と意欲を見せる。
看護や地域福祉学科でも福祉施設や病院での活動を取り入れ、「市全体を大学のフィールドとして活用する」体制を整える。
地域に学生が入り込むことで活性化を狙う一方、住民の提案を引き出す取り組みも行っている。
17年度から始めた「オール新見!公募型まちづくり事業」では地域資源の活用や移住に向けた住民発の事業が芽を出し始めた。
提案団体の「にいみ木のおもちゃの会」は、市内のヒノキで作った子ども用おもちゃを使い、大学や保育所と連携した「木育」に取り組んでいる。
市は、面積の86%を占める森林資源を活用しようと、18年度から木材業者と共におもちゃなどの木材製品の開発を行う事業を始める方針。将来的には、誕生祝い品として市民に配ることも考えている。
「行政ではできない発想が出てきている。
一つ一つはまだ小さいが、だんだんと広がってくればありがたい」と期待を寄せる。
〔横顔〕
岡山県倉敷市出身。
市議会議員を約10年務め、16年に市長就任。
「あせらず、おごらず、あきらめず」を信念に、2年目の市政運営に取り組む。
〔市の自慢〕
伝統ある黒毛和牛の千屋牛やピオーネなどの高級食材「A級グルメ」。