偶然の産物だったのではないだろうか?
希代のダーティーヒーロー、ハンニバル・レクター博士は、20世紀を代表する悪役の一人だと考えている。高度な知性と教養、それに相反するおぞましき人食嗜好。人間の皮を被った悪魔呼ばわりされる一方、レクターこそがもっとも人間をよく知る理解者である観すらある。浮「もの見たさという言葉が、最も相応しい怪物だと思う。ただ、彼を生み出した作者トマス・ハリスもここまで大きな存在になるとは予見していなかった気がする。
レクター博士が登場する「羊たちの沈黙」が刊行されたのは、かれこれ20年くらい前だったと思う。サイコ・ミステリーのファンの間では、かなりの話題になった本であったが、一般に広まったのは、ジュディー・フォスター主演の映画が契機だった。この段階では、あくまで主要な脇役だったと思う。
トマス・ハリスは、寡作な作家で数年に一度しか本を出さない。そのせいもあってか、新作が出ると大騒ぎ。私とて、新作を期待待ちしていたファンの一人だ。根拠なき憶測だが、作者は当初これ一作だけだと考えていたのではないかと思う。しかし、ファンの声、出版メディアの意向等があって、続編が出されたのではないか。しかも、その真意はレクター博士をもっと知りたい!ではないかと思える。
続編「ハンニバル」を駄作と言う気はない。ないが、「羊たち・・・」と比べるとミステリーとしては低調だと思う。少し猟奇に過ぎる。その代わり、レクター博士の怪物ぶりが大きくクローズアップされていた。明らかに主役はレクター博士であったと思う。いつのまにやら、クラリス捜査官は引き立て役になり、主役交替であった。余談だが、J・フォスターが映画の続編への出演を断ったのも、この当たりに真意がある気がする。
現在では、主役の座を射止めて、更に続編が刊行されるレクター・シリーズ。よく小説家が、主人公以外の登場人物に感情移入してしまい、脇役が主役を食っているケースがたまにあるが、このレクター博士は、その典型だと思う。それだけの魅力(おぞましくもあるが・・・)があるのだろう。ある意味、グロテスクな関心だとも思うが、私もこの先の顛末は知りたい。
とりあえず、現在レクター博士の少年期、青年期を描いた映画「ハンニバル・ライジング」が上映されているようだが、さて、どうしたものか?本を読んでからにすると劇場で映画を鑑賞するのに間に合わない。さりとて、映画を先に観ると、本を読む喜びが半減する気がする。嗚呼、悩ましい。
希代のダーティーヒーロー、ハンニバル・レクター博士は、20世紀を代表する悪役の一人だと考えている。高度な知性と教養、それに相反するおぞましき人食嗜好。人間の皮を被った悪魔呼ばわりされる一方、レクターこそがもっとも人間をよく知る理解者である観すらある。浮「もの見たさという言葉が、最も相応しい怪物だと思う。ただ、彼を生み出した作者トマス・ハリスもここまで大きな存在になるとは予見していなかった気がする。
レクター博士が登場する「羊たちの沈黙」が刊行されたのは、かれこれ20年くらい前だったと思う。サイコ・ミステリーのファンの間では、かなりの話題になった本であったが、一般に広まったのは、ジュディー・フォスター主演の映画が契機だった。この段階では、あくまで主要な脇役だったと思う。
トマス・ハリスは、寡作な作家で数年に一度しか本を出さない。そのせいもあってか、新作が出ると大騒ぎ。私とて、新作を期待待ちしていたファンの一人だ。根拠なき憶測だが、作者は当初これ一作だけだと考えていたのではないかと思う。しかし、ファンの声、出版メディアの意向等があって、続編が出されたのではないか。しかも、その真意はレクター博士をもっと知りたい!ではないかと思える。
続編「ハンニバル」を駄作と言う気はない。ないが、「羊たち・・・」と比べるとミステリーとしては低調だと思う。少し猟奇に過ぎる。その代わり、レクター博士の怪物ぶりが大きくクローズアップされていた。明らかに主役はレクター博士であったと思う。いつのまにやら、クラリス捜査官は引き立て役になり、主役交替であった。余談だが、J・フォスターが映画の続編への出演を断ったのも、この当たりに真意がある気がする。
現在では、主役の座を射止めて、更に続編が刊行されるレクター・シリーズ。よく小説家が、主人公以外の登場人物に感情移入してしまい、脇役が主役を食っているケースがたまにあるが、このレクター博士は、その典型だと思う。それだけの魅力(おぞましくもあるが・・・)があるのだろう。ある意味、グロテスクな関心だとも思うが、私もこの先の顛末は知りたい。
とりあえず、現在レクター博士の少年期、青年期を描いた映画「ハンニバル・ライジング」が上映されているようだが、さて、どうしたものか?本を読んでからにすると劇場で映画を鑑賞するのに間に合わない。さりとて、映画を先に観ると、本を読む喜びが半減する気がする。嗚呼、悩ましい。