ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「リングにかけろ」 車田正美

2008-10-09 15:26:16 | 
握り箸がよくないことは分っている。

ただ、こればっかりは直らない。正しい箸の持ち方は、一応知識としては知っているが、どうも馴染めない。原因は分っている。子供の頃に、指の骨を何度となく挫いているからだ。

上手く舌が回らず、聞き取りにくい話し方をしてしまうがゆえに、私は口喧嘩が苦手だった。おまけに短気なもので、すぐに手を出す子供だった。

実のところ、殴るという行為は簡単なようで難しい。指をしっかりと握りこみ、中指と人差し指の拳頭で殴りつける。でも、大概の素人は、腕を外に振るため、小指と中指で殴ってしまう。また、殴る時は当たった瞬間に握りこみ、手首を固めておかないと手首を挫く。

まだ骨の柔らかい子供の拳は、殴るという行為には不向きだった。余談だが、素人の喧嘩なら、頭突きが一番効果的だと思う。人体で一番固い部位だし、至近距離で確実に当てられる。

技術もなにもない、ただの短気な子供だった私は、いつも拳を痛めていた。おかげで、箸を正しく持つのが苦手になってしまった。ちなみに、躾に厳しかった祖母は、食事を残すと叱ったが、怪我だらけの私が握り箸でも叱ることはしなかった。優しいのか、厳しいのかよくわからないおばあちゃんだった。

いずれにせよ、人を殴るのは難しい。簡単なようで、奥が深い技術だと思う。

だからこそ、表題の漫画にはあっけに取られた。最初は真面目なボクシング漫画だったのだが・・・

「ギャラクティカ・マグナム!!!」と必殺技が炸裂すれば、大地が砕け、星が落ち、銀河が弾け飛ぶ。もう、笑っちゃうしかない。対戦相手は空を飛び、会場の窓を突き破って消え去る。

試合のたびに、命の限りを尽くして戦い、当然に死んだかに見える。でも、なぜか復活するご都合主義。漫画の表現に、過度な誇張があるのは分るが、限度を突き破った誇張だった。もう、唖然とするしかない。

でも、ギャク漫画ではない。あまりに突っ込みどころ満載なのだが、何故か当時大人気だった。後年、他の漫画家たちにギャクとして濫用されたが、度が過ぎた誇張スタイルで一世を風靡した怪作だった。

現在、主人公たちの子供が活躍する「リングをかけろ2」が連載されている。相変わらず、星が砕け、海が割れ、大地が隆起するスーパー・パンチ(?)が舞い踊る展開だ。

なんで俺、これ読んでいるのだろうと首を傾げていますが、何故か止められない。ホント、妙な漫画です。
コメント (7)
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