ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「OLパラダイス」 千葉なおこ

2008-10-22 13:56:28 | 

まだ昭和の終わりの頃の昼食後の、気だるい午後だった。

電話をとると、新入社員である私の指導担当のF女史のお母さんだった。内線電話で向の席のF女史に電話を回す。

F女史が電話を受け「あ、お母さん、何?」と話すのを、聴きつつ読みかけの資料を手に取った矢先だった。いきなり立ち上がったF女史が「え~~!、岡田有希子が自殺した!」と大声を上げた。

次の瞬間、支店内はパニックに陥った。その時、60人ほどのOLと私を含め3名の男性社員がいたが、OL達の騒ぎで支店の機能はストップした。休憩室のTVの前に鈴なりとなり、ラジオのボリュームは全開。

勤務中の私語厳禁のポスターがバカに見えるほどの喧騒に圧唐ウれた。支店長は早々に会議室に逃げ込み、総務課長は机に伏せて、何も見ないし、何も聞こえないふりをしている。私はただ呆然とするばかり。

あまりアイドルに関心のなかった私でも、あの真面目で一途そうながら、どこか不器用な感じのする可愛らしい娘さんであることぐらいは知っていた。しかし、まあ、自殺とはと思っていたら電話が鳴り出した。

当然に仕事の電話である。でも、券\人の自殺報道に興奮したOLたちは誰も取らない。止む無く私が出るが、立て続けに電話が鳴った。でも、誰も取らない。

これが噂に聞く、OLグループの男性社員いじめかと思い、負けてなるもんかと電話を両肩にはさみ、PCの端末を2台同時に操り、あいまにCICにとびつく。しかし、更に電話が追い討ちをかける。気づいた総務課長と支店長の3人で必死に対応すること30分。

マーフィーの法則ではないが、なぜに電話は一時に集中するのだろうと思い悩む暇も無く、相変わらずお喋りに夢中なOL連中を無視して、電話対応に集中する。四本の電話に時差対応して、なんとか乗り切る。人間、やれば出来るものだと妙に感心したものだ。

しばらくして、電話も落ち着き、椅子に寄りかかって一休みしていると、F女史がお茶を入れてくれた。そして一言「女の子をバカにすると怖いのよ」。

言いたいことは山ほどあったが、ここは黙ってやり過ごす。外回りの若手営業男性たちと、内勤のOLの反目は、新人の私には無関係だと思いたかったが、そうもいかないようだ。

ただ、分ったことがいくつかあった。中立と思われた年配のOLさんたちも、いざとなったらやはり女の子たちのグループに協力すること。そして、支店長はこの件には無力であること。なにより、中立の立場は許されないことだ。

この岡田有希子自殺事件を契機に、私は開き直ってOLグループに協力する立場をとることとなった。内勤の立場では、それ以外に選択肢はなかった。どうせ男性社員はライバルと割り切り、逆にOLグループの協力を得て営業成績を飛躍的に伸ばしたのは以前書いたとおり。

もし、身体を壊さず、あのまま会社に居たら、一体どんな人生が待っていたのか興味深いと思う。

表題の漫画は、こんなアンポンタンなOLが居たら困ると思いつつ、ついつい笑ってしまう四コマ漫画です。まさかとは思うが、作者によると実在の人物がモデルだとか。疑いつつも、これに近い奴なら、私にも何人か心当たりがある。間違っても部下には欲しくはないが、身近にいたら楽しい毎日だろうなとも思う。まあ、気分転換にどうぞ。

コメント (9)
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