ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

草食系?

2009-04-27 13:48:00 | 社会・政治・一般
流行ごとには鈍感な私が最近気になった言葉が「草食系男子」だ。

なんとなく意味は分る。たしかに大人しそうな(頼りなさそうな)、細っこい(筋肉が貧弱な)若い男の子を見かけることはよくある。

どのような場合に使われる言葉なのか、よく分らないが、ちょっと気になるのが、草食=おとなしい、との思い込みだ。

私の知る限り、草食動物はおとなしいとは限らない。むしろ凶暴なケースが少なくない。例えばアフリカで最も人を殺す哺乳類は草食動物のカバだ。縄張り意識が非常に強く、あの巨体でありながら俊足で、しかも狡猾な頭脳も備えている。プロの動物ガイドでさえ、カバの襲撃で死ぬことも珍しくない。

おとなしい動物の代表とみられがちな羊だが、野生の山羊の闘争は凄まじい。メスを巡る戦いでは角をぶつけ合い、その衝撃音が野山に響き渡る。その戦いは延々と続くこともあり、時には一晩かかっても終わらない。あげくに角が複雑にからまり両者ともに憤死することもある。

不思議なことに、肉食獣ではこのような同属間の争いは滅多にない。群れを守るライオンと、その乗っ取りを図るライオンは、当然に激しい肉弾戦を繰り広げるが、徹底的に殺しあうことは稀だ。たいがいは傷の軽いうちに手を引く。

生きているシマウマの内臓を貪る残虐なハイエナでさえ、同属間の争いでは殺しあうことはない。私の印象では、肉食獣のほうが、闘争本能を抑制する術を知っている気がする。一方、草食獣のほうが闘争に歯止めがなく、エスカレートする傾向が少なくない。

多分、人間もそうじゃないか?

おとなしいと思われた奴が、切れて暴れだすと性質が悪い。私の数少ない経験でも、普段おとなしめの奴ほど、案外見苦しい喧嘩をするやつが多い。手加減をしらないというか、度し難い暴れ方をされて難儀したことが数回ある。

別にどうでもいいことだが、人を安易に二分化して表現するのはやめたほうがいい。人って、そんなに単純じゃないと思う。はっきりいって、物事を深く考えない人ほど、安易に使っている気がする。
コメント (6)
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