人生、引き際が肝要。
そして、石原都知事は引き際を見誤ったと思う。元々、国政からの転進は、いくら正論を叫んでも多数派となりえぬ苦悶から生まれたものだ。
国会の場で、石原自身が正しいと思い、それが政治に反映されることを願って勉強会を立ち上げたり、グループを作ったりしたが、いつも少数派に留まった。
ならば、東京都という一国家並みの自治体で自らが理想とする政治を実現してみようと意気込んでの都知事転進であった。青島の下で混乱していた都庁をまとめ、それなりの実績を挙げたことは、私も否定しない。
しかし、その一方で石原都政は都心の繁華街を立ち枯れさせた。子供が安心して遊べる街への転進を謳った新宿歌舞伎町は閑古鳥が鳴き、東洋一といわれた風俗街は明かりを消した。
多くの飲食店が閉店に追い込まれ、多くの失業者を生んだ。風俗嬢は過酷な裏風俗へ潜り、かえって性病を広め、未成年者が裏風俗で悲惨な目にあっている。
かわって大資本をバックにした明るく健全な居酒屋チェーン店が軒を並べたが、ここでは中高年の失業者は敬遠され、若い(つまり人件費の安い)アルバイトだけが雇用された。
たしかに歌舞伎町は明るくなった。だが、大人の遊び場としての魅力はなくなり、かつての活気は失われた。おそらく石原自身は、都庁のお膝元が浄化されたことにご満悦だろう。
だが、一度荒廃した街を復興させるのは難しい。空きテナントに堪えかねた大家たちは、違法を承知で得体の知れぬ輩に部屋を貸して、そこで何が行われているかは知らん顔。
私が聞き及ぶ範囲では、盗人たちの盗品交換市場や、違法ドラッグ売買などが巧妙に行われているらしい。なにせ、外見が普通の事務所、お店に見えるので、警察もなかなか手が出せない。
正直、今の新宿には手を出したいとは思わない。石原都政の元で行われた歌舞伎町浄化作戦は、見かけだけ健全で、腐敗した部分が奥底に潜らせただけで、むしろ自体は深刻化したと思う。
元来、賢明な治世者は、繁栄する街を作るには、明るく健全な部分と、暗く怪しい部分を暗黙の了解のもとに両立させたものだ。人間の欲望に属した部分を法令で、完全に縛れば、却って裏に潜って統治の枠から大きくはずれることを分っていた。
石原という人は、巨大な都庁をほぼ完全に支配できる程度に頭はいい。だが、本人がクソ真面目すぎて、人の愚かさなどを許容するだけの器量がない。
だから、国会でも都庁でも、石原に賛同する真の支援者を得ることが出来ない。優秀な外部スタッフを少なからず採用したが、どの人も歳月が経つにつれて石原から距離を置く。つまるところ、統治者としての器量に欠ける。
そして、よせばいいのに都知事選挙に再び出馬してしまった。既に石原の周囲には、かつての優秀なスタッフは姿を消しており、いるのは媚びて追従するだけで、甘い汁を吸おうとする輩ばかり。
お気の毒なことだが、多分選挙には勝ち抜けると思う。そしてやがて晩節を汚すことになるはずだ。どうも、石原本人は当初、引退も考慮していたようだが、花道がひかれず、未練が残ったらしい。
孤独な独裁者と化した石原の末路は厳しいものになると思う。石原の許容心に欠けた政治が、東京をどれだけ荒廃させたかが、これから次第に明らかになるはずだ。
信じられないなら、都庁の北、大久保周辺の限界集落と化した都営住宅を見てみることだ。かつて、歌舞伎町が繁栄していた頃、そこで働いていた中高年たちの惨めな暮らしを、目の当たりにするだろう。
なにが浄化作戦?だ。要するにセレブな石原の感性に合わない人たちを追いやっただけだろう。仕事を奪われ、未来に希望を失くした貧しい中高年たちの恨み節なんざ、石原の耳には届かないでしょうがね。
私は石原の功(これは確かにある)を認めないわけではないが、それは罪を贖うほどではなく、むしろ恥を知って自ら退くべきであったと確信しています。
そして、石原都知事は引き際を見誤ったと思う。元々、国政からの転進は、いくら正論を叫んでも多数派となりえぬ苦悶から生まれたものだ。
国会の場で、石原自身が正しいと思い、それが政治に反映されることを願って勉強会を立ち上げたり、グループを作ったりしたが、いつも少数派に留まった。
ならば、東京都という一国家並みの自治体で自らが理想とする政治を実現してみようと意気込んでの都知事転進であった。青島の下で混乱していた都庁をまとめ、それなりの実績を挙げたことは、私も否定しない。
しかし、その一方で石原都政は都心の繁華街を立ち枯れさせた。子供が安心して遊べる街への転進を謳った新宿歌舞伎町は閑古鳥が鳴き、東洋一といわれた風俗街は明かりを消した。
多くの飲食店が閉店に追い込まれ、多くの失業者を生んだ。風俗嬢は過酷な裏風俗へ潜り、かえって性病を広め、未成年者が裏風俗で悲惨な目にあっている。
かわって大資本をバックにした明るく健全な居酒屋チェーン店が軒を並べたが、ここでは中高年の失業者は敬遠され、若い(つまり人件費の安い)アルバイトだけが雇用された。
たしかに歌舞伎町は明るくなった。だが、大人の遊び場としての魅力はなくなり、かつての活気は失われた。おそらく石原自身は、都庁のお膝元が浄化されたことにご満悦だろう。
だが、一度荒廃した街を復興させるのは難しい。空きテナントに堪えかねた大家たちは、違法を承知で得体の知れぬ輩に部屋を貸して、そこで何が行われているかは知らん顔。
私が聞き及ぶ範囲では、盗人たちの盗品交換市場や、違法ドラッグ売買などが巧妙に行われているらしい。なにせ、外見が普通の事務所、お店に見えるので、警察もなかなか手が出せない。
正直、今の新宿には手を出したいとは思わない。石原都政の元で行われた歌舞伎町浄化作戦は、見かけだけ健全で、腐敗した部分が奥底に潜らせただけで、むしろ自体は深刻化したと思う。
元来、賢明な治世者は、繁栄する街を作るには、明るく健全な部分と、暗く怪しい部分を暗黙の了解のもとに両立させたものだ。人間の欲望に属した部分を法令で、完全に縛れば、却って裏に潜って統治の枠から大きくはずれることを分っていた。
石原という人は、巨大な都庁をほぼ完全に支配できる程度に頭はいい。だが、本人がクソ真面目すぎて、人の愚かさなどを許容するだけの器量がない。
だから、国会でも都庁でも、石原に賛同する真の支援者を得ることが出来ない。優秀な外部スタッフを少なからず採用したが、どの人も歳月が経つにつれて石原から距離を置く。つまるところ、統治者としての器量に欠ける。
そして、よせばいいのに都知事選挙に再び出馬してしまった。既に石原の周囲には、かつての優秀なスタッフは姿を消しており、いるのは媚びて追従するだけで、甘い汁を吸おうとする輩ばかり。
お気の毒なことだが、多分選挙には勝ち抜けると思う。そしてやがて晩節を汚すことになるはずだ。どうも、石原本人は当初、引退も考慮していたようだが、花道がひかれず、未練が残ったらしい。
孤独な独裁者と化した石原の末路は厳しいものになると思う。石原の許容心に欠けた政治が、東京をどれだけ荒廃させたかが、これから次第に明らかになるはずだ。
信じられないなら、都庁の北、大久保周辺の限界集落と化した都営住宅を見てみることだ。かつて、歌舞伎町が繁栄していた頃、そこで働いていた中高年たちの惨めな暮らしを、目の当たりにするだろう。
なにが浄化作戦?だ。要するにセレブな石原の感性に合わない人たちを追いやっただけだろう。仕事を奪われ、未来に希望を失くした貧しい中高年たちの恨み節なんざ、石原の耳には届かないでしょうがね。
私は石原の功(これは確かにある)を認めないわけではないが、それは罪を贖うほどではなく、むしろ恥を知って自ら退くべきであったと確信しています。