ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

余震の夜

2011-04-20 15:06:00 | 日記
最初は気がつかなかった。

理由は簡単で、車が振動していたからだ。これは道路に浅い溝が刻まれていて、走ると軽い振動が出て、自然とスピードが落ちるようになっていたからだ。

ここは東八道路。東京西部、八王子と新宿を繋ぐはずのバイパスである。ただ、いささか中途半端な道路で、完成するには当分かかると思う。ちなみに私が十代の頃から計画と工事は続いているから、気の長い話である。

とはいえ、甲州街道を使うよりも快適に走れるのは確かだ。私も良く使う道路である。快適に走れる道路ではあるが、スピードは出しにくい道路でもある。

なぜかというと、丁度真ん中に警視庁の運転免許センターがあるからだ。当然に警察の車が頻繁に走っている。いや、走っているだけではない。

坂がある関係で、どうしてもスピードが出やすい部分があるのだが、その部分に上記の振動が出る溝が刻まれている。これは絶対に警察の余計な差し出口で作られた仕組みに違いないと、私は確信している。

そんな訳で、3月の東日本大地震以来、最大の余震があった時も、すぐには気がつかなかった。ただ、信号で止まったにも関らず、なぜか車が微妙に揺れているので、ヘンに思った。

最初はエンジンの異常を疑った。次にタイヤを考えて、最後に地震かもしれないと思い至った。よくよく見ると、斜め正面に見える交番から、お巡りさんが飛び出して看板を指差したりしている。

すぐにラジオを付けると、若い男性DJが落ち着くようにと話していた。東京だと震度は3だそうだが、ちと疑わしい。後日の報道では震度4であった。これなら分る。

気になったのは、自宅の本棚だ。新しい本棚を買って、組み立ててあるのだが、まだ整理していない。壁際に本が山積みになっているので、今回の余震で崩れているはずだ。

案の定、帰宅すると本が雪崩を起していて、床に散らばっている。もう、余震にはウンザリだ。もっとも、被災地の東北地方の方々の心痛は、こんなものではあるまい。

被災地の復興への道のりは、単に険しいだけではなく、長く続くものだ。復興に向けて何よりも大切なのは、意思の力だ。これを継続させることこそ難しい。

まして、今回のように余震が続く場合、せっかくの努力が一夜にして藻屑と化すことも珍しくない。これは心のスタミナを消耗させる。

長く続く復興事業は、忘れた頃にこそ助けの手が必要だ。

私にも覚えがある。20代の大半を難病からの回復に充てた私だが、正直言えば何度も挫けそうになった。図書館に赴き、楽に死ねる方法を模索したこともあった。今でこそ笑い飛ばせるが、当時は相応に真剣だった。

だが、そんな時に限って久しく疎遠だった友人から声がかかったり、思いがけぬ出会いに、病み衰えた心に安らぎを与えられた。

私は決して一人で生きてきた訳ではない。誰かの助けがあってこそ、今の自分がある。今は目の前のことに忙殺されて、余裕がない。でも、マスコミは報道を止め、世間が忘れた頃にこそ、東北に赴いて自分の手で復興の手助けをしたいものだと思う。

たいしたことは出来ないと思うが、ほんの小さなことだけでも救いになる。私自身の経験からいって、それは小さくとも役に立つものだと信じている。

いつか、必ずだ。
コメント (4)
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