多分、私のほうがズレているのだろう。
今や国民的漫画となった感のある表題の漫画だが、私はほとんど読んでいない。始まったのは、私が小学生の5,6年の頃だと記憶している。
ちなみに当時は今の「秋本治」ではなく「山止たつひこ」の名前で描いていた。もちろん、当時大人気だった「がきデカ」の山上氏のもじりだ。
漫画ならなんでも良かったあの頃でさえ、流し読みだったと思う。つまらないとは思わなかったが、面白いと熱中できるだけのものがなかったように思えたからだ。
今だから分るが、中途半端なのだ。もちろん、あの両津巡査のような警官が、現実にはいないことは分る。分るが、飛躍がちまちましていて、無難にギャグをしている感が嫌だった。
さりとて、リアルな警官とは、程遠いゆえに現実感に乏しかった。もっとも、この漫画が好きな人は、そんなことを気にせずに、ちょっと現実離れした両さんを楽しんでいることは分る。
なにを楽しもうと自由だと思うし、別に弊害があるわけでもないので、それを妨げる気もない。
それでも、この漫画が好きになれないと公言してしまうのは、本質的に私が警官嫌いだからだろう。
幼い頃から問題を起こし、しばしば補導されていた私にとって、警官とは狭すぎる正義感の塊りなのだ。奴らが善意から社会的正義の実現を目指していることぐらいは、幼い私だって分っていた。
分ってはいたが、奴らの「この世には、犯罪を犯した人間と、これから犯罪を犯すかもしれない人間の二種類しかいない」と信じきっている傲慢さが嫌いだった。
補導された私を、はなっから疑いの眼差しで見つめるのが実に不愉快であった。嫌われたり、憎まれるならともかく、根拠もなしに疑念の目で蔑視するのだけは、断じて許せない。
おかげで、この週刊少年ジャンプ誌上、最長連載記録を誇るこの漫画は、どうしても楽しめない。ただ、面白いのは間違いないようだ。在日年数は長いが、漫画は読まない外国人の母子が、この作品の映画化されたものを観て、面白かったと感心していた。
「センセー、なんで観ない?」と訊かれたので、警官は嫌いだと答えたら「警察と喧嘩するの、よくない」と説教された。余計なお世話だい!