困った、困った。
主にシナ人やフィリピン人の在日外国人を雇用している社長さんから誘われて、新宿のロボット・レストランとやらに行ってきた。数年前になにかの雑誌で取り上げられていたのは読んだが、特に気には留めていなかった。
また改造したトラックと思しき宣伝車を見かけたこともある。正直言って、一時的な話題集めのお店だと思い込んでいた。特段関心もなかったが、実はこのお店、日本を観光で訪れた外国人の間では評判になっているらしい。
ネット上の口コミサイトで評判が広まり、それが日本に定住している外国人に伝わっているそうだ。社長さんも従業員から教わり、連れて行って欲しいと頼まれたそうだ。当の日本人はそんな評判、まったく知らないわけで、件の社長さんが「先生も一緒にどうぞ」というので、それじゃあ行ってみることになった。
場所は新宿歌舞伎町である。かつては風俗店が軒を並べる怪しげな通りであったが、石原都政下での歌舞伎町浄化作戦により、一応健全化させられたことになっている。
とはいえ、そこは歌舞伎町だ。かつての風俗店は居酒屋になっているケースが多いが、どうみてもキャバクラとしか思えない店も生き残っている。で、お目当てのロボットレストランだが、ここもご多分に漏れず、間違いなく元キャバクラ系のお店を改装したものだ。
ビルの3階にあるけっこう広い待合室にてショーを待っているのは、ほぼ9割がた外国人観光客である。欧米系が多いが、シナ人もけっこう居る。はて?外国人向けの観光施設なのかな。
いよいよ案内されたのだが、階段を地下二階まで下りて長方形の部屋に相対する形の席に座らされる。なお、レストランとの表記は忘れたほうがいい。幕の内弁当か、サンドイッチ、あるいはおつまみセットのような食事が渡されるだけである。食事は他の店で済ませたほうがいい。
で、いよいよショーが始まるのだが、感想を述べるのに困ってしまう。かつてのキャバクラのショーからお色気を除いたような踊りと音楽で始まり、これまた太鼓の響きも凄まじく、勇ましいことこの上ない。
水着なんだか、コスプレなんだか分からないが、若い娘さんたちが太鼓をたたき、ダンスをする様は噂に聞く秋葉原の地下アイドルを思わせる。もっとも私の前の席の白人男性は、ミニスカートから覗ける下着(見せパンだと思うが)ばっかり見とれている。
日本の伝統的な祭りを電飾とロックミュージックで彩ったようなショーに驚くやら、呆れるやら。ロボット?いや、ロボット風被り物だと思うが、これまた感心してイイやら、悩んでいいやら。
もっとも私が一番驚いたのは、あの狭いスペースに電飾カーやらロボットやらを運び込み、動かし会場を周回させる器用さであった。よくぞ、まァ、あの狭い会場であれだけのショーが出来るものである。
途中、二回ほどの休憩をはさみつつ、ショーは延々と続き、あげくにカンフーパンダは出てくるは、大蛇は練り歩くはと、なんと評したら良いのか困る。外国からの観光客はけっこう大喜びしていたが、我々日本人及び在日外国人の表情は微妙である。
これを日本だと思われると、ちょっと困る、困るぞ。
だが、よくよく考えてみると、これこそ現代の日本なのかもしれない。伝統文化と現代文明の利器が溢れ、混在し、渾沌とした都市文化を築いているのが日本であり、外国から来る観光客には、まさに期待している日本なのかもしれない。
まァ、一時間半あまりのショーは堪能できたが、これで7000円は少し高い。少し前までの4000円で相当だと思うぞ。