ヌマンタの書斎

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戦いに終わりなし 最新アジアビジネス熱風録 江上剛

2015-02-04 12:08:00 | 

最近の小学校では、一学年2クラスあればいいほうで、1クラスを編成するのがやっとの学校も少なくない。

言うまでもなく少子化の結果である。この問題の解決は難しい。少子化が問題として認識されだしたのは、主にヨーロッパにおいてだが、確固たる原因は判明していない。だが、解決策がない訳ではないのは、フランスなどの成功例からも読み取れる。

ただ、少子化というが、実は二極化ではないかと思っている。私の周囲をみると、若くして結婚した連中は子だくさんが少なくない。一方、30代以降に結婚した連中はよくて一人、むしろ子供がいない家庭が多い。

別の面から見ると、若くして結婚した連中は失礼ながら高学歴とは少し遠い。もちろん大卒もいるが、いわゆる超一流ではない。一応言っておくが、学歴だけの話であり、人間的な魅力は別物である。一緒に遊ぶなら、実に楽しい連中なのだ。ただ、少しヤンキー率高い。

一方、高学歴で晩婚の連中は、ある意味子作りに励む時間的余裕がない奴らが多い。仕事でも中核的な立場であり、多忙であり、私生活に余裕がない。金銭面ではなく時間的に余裕がない。おまけに夫婦共稼ぎが多い。これでは、ますます子作りに励む時間がとりづらい。

夫婦共稼ぎの場合、子供が出来たら出来たで苦労が多い。妻も夫もそれなりに高いスキルを持つので、育児休暇は取りずらい。子供と共に過ごす時間を望んではいるが、仕事への情熱を失っている訳ではないので当人たちも辛い。

昔なら親に子供の世話を頼むこともよくあったものだが、昨今は親のほうがリタイア後の第二の人生を楽しんでいるケースが多く、時々ならともかくも、頻繁には孫の世話を頼むことも出来ない。

かくして先進国では、高学歴の社会人家庭ほど子供がいない。ある意味、当然ではないかと思う。家庭で子供を育てる余裕がない以上、本能的に子供を望まなくなる。いいかえれば、子育てはそれだけ大変なものである。

だが、この少子化はじわじわと社会を蝕む。まず働き手が減るため、社会制度を満足に機能させることが難しくなる。今でさえ一部の業種では人手不足が深刻だが、それが全社会的に拡散することは確実である。

従って予測される将来の日本は、まず間違いなく衰退する。人的資源を活かして江戸時代から大きく発展してきた日本は、その人的資源が減少することで衰退する。これは不動の結論であると確信している。

そんな日本にとって重要性が増すのが、経済面でライバルとなっているアジア諸国となる。今や大企業のみならず、中小、零細であっても、なんらかの形でアジア市場とつながっている。

嫌だろうが、なんだろうが、アジア諸国とは今後物資、人材、サービスと様々な面での交流が増えていく。特にこれまで市場としてあまり重視してこなかったインド、インドネシアといった人口大国とは、これまで以上に交流が進む。

日本はこの時流に乗っていけねばならない。まずは国内における外国人への些細な規制から順次改革する必要がある。一例を挙げれば、まず印鑑だ。印鑑を廃止しろとは言わないが、サイン証明を認めるべきだろう。

単なる規制緩和だけではなく、犯罪面などを考慮しての規制強化も必要だ。水という貴重な資源を守るためにも、水源地などの自由な売買は認可制にするべきだ。また情報流出などを防ぐためにも、スパイ防止法の制定は必要不可欠だ。

同時に、英語だけでなくアジア諸国で使われる各国語の通訳を増やすことも必要となる。これは一朝一夕では片付かない課題でもある。既に裁判所は、増大する外国人からみの裁判に音を上げている。人材はもう不足しているのだ。

表題の本が書かれたのは、今から10年近く前だから、現実にはもっとアジアビジネスは進んでいる。それでも読む価値があるのは、欧米視点でしか世の中をみれない人が多いからだ。

商売は終夜運転の電車にも似て、止まってしまったら御終い。それは国家も同じこと。社会の変化に対応していかねば生き残れない。この厳しい現実を受け止めるためにも、アジアビジネスの知識は、今後一層重要になると思います。

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