なにが起こるか分からないのがサッカーだ。
手倉森監督率いるアンダー23の選手による、リオ五輪出場をかけた予選大会が、中東はカタールの地で開催されていた。既報のとおり、準決勝でシリアを破った日本は、見事リオ五輪出場決定である。
そして、決勝では、これまで散々苦杯を舐めさせられた韓国に0-2から3点もぎ取っての逆転勝利。深夜の試合であったので、敗戦かと思っていた人は、翌朝のニュースで仰天したものである。
谷間の世代と軽んじられていたヤング・ジャパンが花開いたなどと報じるマスコミもあったが、私はいささか苦々しい気持ちであった。
五輪出場は、立派な結果だし、韓国を破っての優勝も軽んじる気はない。でも、マスコミの報道の軽薄さには辟易する。谷間の世代は、この年代だけでなく、アンダーの日本代表は、トルシェ監督を最後に、毎年のように惨めな結果しか出していなかったのが実情である。
前にも書いたが、この若い世代の日本代表監督は、ここ十数年ずっと日本人監督の独占であった。それも、国際試合での経験が碌にない上に、Jリーグでもたいした実績を挙げていない監督たちの、再就職の場がヤング・ジャパンの代表監督の座であった。
手倉森監督にせよ、選手としてはたいした実績はなく、指導者としてはベガルタ仙台を二位に上げた程度である。実際、五輪予選は、苦闘苦杯を舐めること一度ならずであり、なぜに監督交代の声が上がらないのか不思議なほどであった。
もちろん理由は、日本人指導者の育成である。だが、それは10年以上、上手くいってないのが実情である。なにせ、いくら五輪に出場しても、たいした成績は上げられず、またA代表に抜擢されるような逸材の育成にも失敗している。
幸い、日本にはJリーグがあり、そこでは外国人監督、コーチはまだまだいる。だからJで育って、海外に雄飛した選手はいる。しかし、日本人指導者の下で成功した若手は、残念ながら皆無に近い。
無理に海外挑戦しても、ロクに試合に出れずに、身体も心も荒廃して帰国するのが今の日本のサッカー選手である。こうして、幾人もの有望株が潰れているのだ。
私が不愉快なのは、こうした現状を知りながら、日本サッカー協会及び選手たちとの円滑な関係を重視して、日本人指導者の失敗を見過ごすマスコミの存在である。失敗したと批難されるのは、いつもA代表の外国人監督であり、失敗しても批難されないのが若手の日本代表を担当していた日本人コーチ陣である。
日本サッカー界の三大不幸は、素人集団の日本サッカー協会と、力量不足の日本人指導者と、報道すべきをしないマスコミである。韓国に勝ったと浮かれるよりも、大事な問題があることを、しっかりと認識して欲しいものです。