ガソリン価格の下落が止まらない。
何度か書いているが、貴重な地下資源である原油は、おそらく今世紀中には枯渇する。既に採掘可能な油田の大半が、自然噴出は無理で、海水注入など圧力を加えて原油を採取しているのが実情である。
であるならば、むしろ原油の価格は上昇するのが自然である。しかし、昨年の相次ぐ値上げをピークに、現在は下がる一方である。これは、なにを意味しているのだろうか。
私の考えでは、産油国の危機感の顕れだと思う。原油を輸出することにより、膨大な外貨を稼いできたが、それゆえに原油以外の産業が育っていない。それなのに、産油国の政府も国民も、豊かな生活に慣れ過ぎて、生活レベルを下げることが出来ずにいる。
それどころか、生活水準を下げさすことは、政府への不満を爆発させる結果になりかねない恐れがある。いや、それは既に現実化している。イスラミック・ステートの躍進こそが、その現れである。
西側先進国に原油を売ることで豊かな生活を享受してきた産油国は、いかに不満があろうと、欧米とは妥協せざるを得ない。それが敬遠な普通のイスラム教徒には納得しがたいストレスとなっている。
無邪気に欧米の近代文明を目指すことが、自分たちの幸せだと信じていた時期は、もう既に終わっている。実際に欧米で暮らすことで、むしろ近代文明に不信感を抱き、西欧的な価値観を疑い、イスラムの教えに回帰することに憧れる。
それがISの躍進の原動力であり、産油国はそれに気が付いて恐れている。如何に同じイスラム教徒であろうと、ISの進入が浮ュて、サウジもイランもシリア難民を受け入れることが出来ずにいる。
それどころか、国内の不満分子を抑えるためにも、どしてもお金が必要だ。そのためには、どうしたって原油を輸出して外貨を稼ぐ必要がある。
だから、産油国が集まって生産調整をしようとしても、決して上手くいかない。かくして原油の輸出は増えて、原油価格は下がっていく。
原油が枯渇して、それが露呈するのが何時なのか、実は誰にも分かっていない。分かっているのは、徐々に原油の産出が難しくなっていることだけだ。
狡猾なアメリカは国内に原油の油田を温存している。しかし、輸出する余力はそうないと思われる。残された原油は、おそらく南極大陸と、北極などの深海の海底油田だけであろう。
今世紀中に、原油採掘を発端とした新たな紛争が、南極などで起こることは、ほぼ確定だと私は予測しています。大量に石油を消費する大国である日本も、もちろん南極に基地がありますから、無関係ではいられないでしょうね。
でも、大丈夫。憲法9条、憲法9条と唱えていれば、戦争は起きないそうですから。