ヌマンタの書斎

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政治報道に思うこと

2016-02-22 12:01:00 | 社会・政治・一般

最近の政治報道は、あまりに下らな過ぎて、ニュースを読むのが苦痛である。

失言騒ぎも馬鹿らしいが、不倫騒動に至っては、愚かさにも程がある。そんなゴシップネタを、公共のTV電波を使って浪費しないでくれと言いたくなるではないか。

クソまじめな表情で、政治家の失言を報じる記者の間抜けな顔を見ていると、その偽善ぶりに嫌気がさす。

今、政治の場で論議すべきことは、そんなことなのか。もっと、大切なことがあるのではないのか。内政問題一つとっても、見過ごされている気がしてならない。

過去の政策の評価と審議をしなくて、なんだって、新たな政策が出せるのか。密室で行われる、一部の政治家と官僚だけが法案を作成し、その論議が表沙汰にならないうちに、なぜか委員会を通り抜け、気が付いたら法案が成立している。

今、起きている問題は、過去の積み重ねにより発生したものだ。その過去を検証せずに、誰の責任も問わずに、何故に適切な対応がとれると思うのか、私には不思議でならない。

抽象的過ぎて、分かりづらいと思うので、一例を挙げる。

日銀がデフレ対策として打ち出して、前代未聞の逆金利政策である。既にご承知のとおり、この黒田・日銀総裁の奇策は、円高と株安、銀行金利の引き下げを生み出しただけで、どうみてもデフレ対策として、また景気刺激策としても上手くいっているようには思えない。

なぜなのか?

現時点で、誰も納得のいく説明を出せてはいない。それは私も同じだが、マスコミ様が書かない、追及もしないことなら指摘できる。

いくら日銀が逆金利を打ち出しても、銀行は貸し出しを増やさないし、当然に設備投資も増えず、景気を活況させることも出来やしない。その理由は過去にある。

小泉・竹中構造改革路線の中で、金融庁が銀行に強要していえる融資マニュアル。これがある限り、決して銀行は、貸し出しを増やせないし、増やすことも出来ない。

当たり前である。お役人が、これ以上不良債権が増加しないよう、つまり責任問題が生じないように作った融資マニュアルである。融資の現場を知らず、大企業と、中小企業融資を同列に捉えた、世間知らずの御坊ちゃま役人が作った融資マニュアルがある以上、銀行は本当に資金需要がある中小企業に融資は出来ない。

この金融庁のマニュアルのおかげで、銀行は中小、零細事業者を評価するリスクを避けることが出来た。つまり門前払いのお墨付きをもらった。銀行は安心して融資が出来る安全な大企業だけを対象にすれば良くなった。

かつての銀行には、中小企業の親父や、気鋭の若手企業者を見る目があった。融資とは、企業という制度上の存在にではなく、その経営者に貸すことだと理解し、その経営者を厳しく見る目が、確かにあった。

だが、今の銀行に、それが出来る人材は皆無である。いる訳がない、当然である。そんな曖昧な基準で融資したら、確実に金融庁から睨まれる。

だが、忘れられているようなので、新ためて言うが、融資とは本来リスクを負うものである。絶対安全な融資なんて、本来ありえないものだ。そのリスクを測ることは、経営者を測ることに他ならない。

人を測ることは、マニュアルでは無理である。自身に顧みて考えることだ。友人をマニュアルで選びますか?親友をマニュアルで作りますか?結婚相手をマニュアルで選びますか?

常識で分かることである。それなのに、金融庁は融資マニュアルを作り、そのマニュアルに適合しない融資にダメ出しをしてきた。銀行は銀行で、人を測るのではなく、コンピューターソフトに財務データーを入力することで、融資を判断してきた。

断言します。今の銀行に、リスクを負うような融資をする能力はない。それが出来る人材は育っておらず、出来る人を追いやってきた。財務省と金融庁の覚えのいい人物だけが、頭取に出世してきたから、リスクを追いかけるような事業家の資質を持つ銀行員は、必然的に排除されてきた。

そんな銀行に、黒田・日銀が逆金利政策を強要しても、銀行は貸し出しを増やせない。

新聞やTV局の記者様たちは、銀行の記者クラブで安穏と日々を過ごし、広報資料の配布を本社に持ち込むだけが仕事だと思っている。財務省や金融庁の記者クラブに居座る記者様たちも同様である。

ある意味、仕事(裏付け取材や調査)をしないで高給を食める、お気楽な立場を満喫しているのだから、その立場を手放したくはないのだろう。だから、新聞やTVは、銀行のダメさ加減や、金融庁のいい加減さを告発するような記事は、この十数年書いた試しがない。

一部の独立系の識者だけが、そのことを告発するが、大手のマスコミ様はだんまりを決め込んでいる。その癖、マスコミ業は神聖なので、消費税増税は免除してねと、ぬけぬけと甘える。

こんな体たらくのマスコミ様であるから、鼻息荒く告発するのは、自分たちにリスクが及ばない問題ばかり。それが、今の政治報道である。

あたしゃ、馬鹿らしくって、新聞の政治欄を読む気にもなれないよ。

コメント
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