ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

初代シーマ

2016-02-15 13:31:00 | 日記

アクセルを踏み込んだ瞬間、車体は前部が持ち上がり、後輪が激しく大地を蹴飛ばすように飛び出す。

そんな暴力的な荒々しさを持った車が、バブルの最盛期に登場した日産シーマ(初代)であった。トヨタのクラウンのライバル車であるセドリックやグロリアの上級車種としての位置づけであったが、その走りは中高年男性の心を揺さぶる加速王であった。

特にV6エンジンにターボを付けたタイプは、従来のクラウン、セドリックタイプの車からは程遠い、スポーツカーも顔負けの加速が自慢であった。そして、驚いたことに、この車に世の中高年ドライバーたちは飛びついた。

バブル期を代表する、加速キング、それが初代シーマであった。

本来ならば、スピードに酔い勝ちな若者にこそ人気が出るはずなのだが、如何せん価格が高すぎた。だから、経済的に余裕がある中高年にしか買えない車であった。そのせいであろうが、後年中古車が出回ると、若いドライバーたちが飛びついたのも無理はない。

そんな初代シーマは、改造されたり、荒々しく乗られることが多く、現在では滅多に見かけない車でもある。その車に25年間乗っている女優さんがいるとのニュースがあり、これには私も驚いた。

伊藤かずえという女優さんで、私もかすかに覚えている。凛々しい眉をした美人であったと記憶している。アイドルとしてデビューしたように思うが、あまりアイドルらしくない雰囲気であったので、なんとなく記憶に残った。

おしとやかな印象がある女優さんだが、このシーマの暴力的な加速に魅入られて、購入以来25年間同じ車に乗り続けているという。エンジンを一度交換し、サスペションも二度交換しているという。

今では、エンジン音を聞いているだけで、車の不調が分かり、メカニックから感心されるほどである。よほど、この車を気に入ったのだと思う。

こんなニュースを読むと、なんとなく嬉しくなってしまう。私も、どちらかといえば、一台の車を長く乗るほうだ。だからこそ、分かるのだが、一台の車を20年以上乗るのは、たいへんなことだ。

車は走る消耗品である。いや、走らなくても経年劣化はあるし、走れば走るだけ摩耗する。私の経験からすると、安い車や、小型車は、故障せずに普通に乗るのは10年が限界だ。そこから先は、ひたすら修理を重ねるしかない。

だが、大型車、特にクラウン・クラスの車は丁寧に乗れば20年は乗れる。特にバブル期に生産された車は、その造りも丁寧で、上質な部品を使っているので、持ちがいい。

だが、25年ともなれば、もはや杖を突いた老人なみの状態である。そんな車に乗り続けるには、単に気に入っているだけではダメで、それなりの知識も必要になる。また、メンテナンスを請け負う工場の協力も必要不可欠だ。

もはや、カルトというかマニアの世界である。他人事ではあるが、私はこんなニュースを読むと、何時かはこんな愛車に巡り合いたいと思うのです。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする