ヌマンタの書斎

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アメリカの本音

2016-09-27 12:19:00 | 社会・政治・一般

時として失言には、本音が露出していることがある。

少し前のことだが、アメリカの副大統領であるバイデン氏が、トランプ候補を非難する演説中に、ついつい本音をさらけ出した。日本の核武装を奨めるトランプ候補だが、バイデン副大統領は、日本の憲法は我がアメリカが作成したもので、日本の軍事力を低いままにしておくことが目的であることを事実上、暴露してしまった。

これは、アメリカの支配階級である白人たちには、当然との認識があるらしく、特段問題とされることはなかった。むしろ失言として困惑したのは日本側で、特に憲法9条信者など護憲派は、このバイデン副大統領の失言にアタフタした。

朝日新聞などは、日本側でもそのアメリカ側から提示された憲法の原案に、日本独自の改正を入れたとか、参考にしただけだとか、見苦しい言い訳をしているのが滑稽であった。

まともな日本語の国語力があれば、現行の日本憲法が翻訳された文であることを察するのは容易い。あの言い回しは、日本的な構文ではないからだ。護憲派の醜態を冷笑しながらも、私はこれはこれで難しいことになったなと考えざるを得なかった。

バイデン副大統領は、特に日本の専門家ではないが、それでもあの程度の知識があるところから察するに、アメリカの支配層といっていいWASPの人たちの、暗黙の了解というか、日本に対する本音が透けて見えてしまった。

要するに、アメリカは今も半世紀前の、日本の軍事上の挑戦を忘れておらず、二度と同じことをやらせないよう、しっかりと手綱を握っているつもりなのだ。ハワイを空爆し、フィリピンからアメリカを追い払い、その後太平洋各地の島嶼で激戦を繰り広げた日本という敵を、二度と復活させてはならぬと今も考えていることを、図らずもバイデン副大統領は漏らしてしまった訳だ。

もちろん、アメリカ側も一枚岩ではない。強力な経済力を持つ日本に、ある程度軍事力を持たせて、アメリカの世界戦略に役立てようと考えているアメリカも確実に存在する。

実際、ヴェトナム戦争までは兵站分野での支援だけに縛っていた紐を緩めさせ、湾岸戦争では機雷除去という軍事行為をさせている。またアフリカ各地へ日本の軍隊をPKO業務に派遣させて、アメリカの補助戦力として使用してきた実績もある。

アメリカ国防省は、日本の軍事力を今後、より一層自国の戦略に組み込むよう、ホワイトハウスに働きかけていることは有名な事実である。だからこそ、アメリカはイージス艦を日本に保有させている。日本の海上自衛隊のイージス艦は、事実上アメリカ海軍第七艦隊の護衛船としての機能を持っていることは、周知の事実である。

またF15に組み込まれた敵味方識別装置は、アメリカ製のブラックボックスであり、日本がどこと戦うのかさえも、アメリカの指揮下に置いている。そして、ブラックボックスを無断で開封してしまった、どこぞのバカな国は後回しにして、最新鋭機のF35を日本に提供している。

F35に搭載された電子システムは、アメリカ軍の情報ネットワークと共有可能であり、それゆえに強大な戦力となっている。少し具体的に書くと、アメリカの情報衛星からのデーターを空母などが受取り、それを元に無人偵察機でより詳細なデーターを入手。それを各戦闘機に配信することで、それぞれの戦闘機は自機のレーダー到達範囲外の情報を入手し、それに基づき適切な行動がとれる。

敵からすれば、レーダーなどの範囲外から突然飛来してくるミサイルに一方的に粉砕されてしまい、訳も分からず業火に包まれて死んでいく。この電子システムを持つが故に、アメリカ軍は世界最強の軍隊でいられる。

日本も、この最新の戦闘システムに組み込まれている。逆に独自の防衛戦略を持とうと志向する国には、この電子システムは提供されない。これを、アメリカが日本を信用している証だと好意的に解釈するのは勝手だが、私に言わせればアメリカ軍の完全な支配下にあるからこそ、その提供が許されたに過ぎない。

この現状と、バイデン副大統領の失言を考えると、とてもじゃないが、日本が独自で憲法改正をすることは、非常に難しいと云わざるを得ない。少なくても、その草案の段かいから、アメリカ側の内諾を得なければならないだろう。

しかも、アメリカ側も一枚岩ではない。従来通り、日本に護憲の道を取らせようとする勢力も必ず出てくる。また、積極的に改正を容認する勢力も存在するであろう。また、表向きは、日本の国内問題だとしながらも、裏ではいろいろ干渉してくる可能性も高い。

憲法とは、その国の在り方を定める基本法ではあるが、日本の場合、アメリカの内諾なくして、憲法を変えることは出来ない。屈辱的ではあるが、それが今の日本の現実であろう。

コメント (2)
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