人間、50を過ぎると身体にガタがくる。
先週後半だが、急に食事が辛くなった。噛むと奥歯が痛むのが原因である。嫌な予感がした。この奥歯は10代の頃に治療したもので、たしか神経を殺して虫歯を治療したはずだ。
5年ほど前に、やはり痛くなったのだが、当時はまだ歯根が残っていたので、痛みの原因であるばい菌を服薬で治療しただけで済ましていた。再び、同じ個所なのだが、どうも不安が募る。
土曜日に急患として受け入れてもらう。この歯科医は、私が大学生の頃から通っている。当時は、まだ若々しい歯科医であったが、今では白髪の目立つベテランの風貌になっている。
さっそく診察を受け、レントゲンを撮ることになる。結果、分かったのは既に奥歯の歯根は溶けて残っておらず、歯肉に支えられている状態であること。当然グラグラしているし、その隙間に入った雑菌が、痛みの原因であることだった。
30年以上、もたせてきた奥歯だけど、もう抜くしかないとの診断に、「お任せします」と言うほかなかった。麻酔を打ってもらい、抜歯はすぐに終わった。見せてもらったが、たしかに歯根がなかった。虫歯の治療痕があるほかは、いたって綺麗な奥歯であったから、長年のブラッシングの効果はあったのだろう。
ところが大変だったのは、その後である。抜歯した痕からの出血が止まらないのだ。
原因は、数年前の心筋梗塞後に服用するようになった薬のせいである。再び血栓をつくらないよう、血をサラサラにする薬を飲んでいるので、血が固まりにくい。つまり、出血すると止まりにくい体になっている。
抜歯後、1時間かけて縫合し、止血をするのだが、困ったことに止まらない。その日は仕事には行かず、帰宅して安静にしていたのだが、微量ながら出血が続いている。
翌、日曜日は微熱と出血からくる気怠さで、動く気になれず、終日家でゴロゴロしていた。明けて月曜日、午前中に顧客の元を回って、その足で再び歯科医の元を訪れて消毒。
医者が言うには、血が止まらないのは、薬のせいだけでなく、肝機能が落ちていることも関係しているとのこと。思い当る節が多過ぎて、答えに窮してしまう。ただ、幸いなことに、出血量も減少してきているので、このまま様子を見るとのこと。
ただ、患部の消毒だけは、可能な限り毎日やるとのこと。
正直、今週は日程が詰まっているので、かなりシンドイのだが、背に腹は替えられず、止む無く連日の歯科医通いである。実を言えば、歯を抜くのは、多分30数年ぶりである。このかかりつけの歯医者さんは、歯をなるべく抜かない方針の方なので、今日までなんとか、持たせてきたが、やはり年齢には勝てずである。
久々の抜歯は、かなり手痛いものとなった。歯を抜いたのは哀しいが、それ以上に年々身体にガタがきている現実を受け入れるのは、辛いものです。