この作品は、70年代の人気劇画「カムイ伝」からスピンアウトした作品であった。
カムイ伝と銘打ちながら、主人公のカムイは早々に姿を消してしまい、替わって百姓の正助と浪人の竜之進が主役の座に座ってしまったことから、改めて描かれたのが表題の「カムイ外伝」であった。
こちらは、抜け忍カムイのバトル中心であったこともあり、子供の私には馴染みやすかった。実際、TVアニメ化(当時はTV漫画と呼ばれていた)されたのは、本伝である「カムイ伝」ではなく、こちらであった。
もっともタイトルは、「忍風カムイ外伝」として放送された。が、白土三平の人気作「サスケ」には人気の面では到底及ばず、ワンクールで消えたアニメであった。これは抜け忍カムイという設定から、夕刻に子供向けのアニメとしては暗かったというのが理由なようである。
しかしながら、私に言わせればこの暗さこそが、このアニメの魅力であり、原作である漫画よりもスタイリッシュに描かれていたことも相まって、子供たちの間では隠れた人気作であったと思う。
実際、私の周囲では、サスケよりもカムイのほうが人気があったと思う。忍術合戦では、サスケのほうが派手なのだが、抜け忍カムイのクールでいながら、熱いハートを秘めている人物造形が実に格好良かった。
敢えて暴言吐けば、原作の漫画よりも、アニメのほうが格好良かった。そのせいか、どうかは知らないが、白土氏はしばらくの間、放置していた。その後、90年代になってから、ボチボチ後日談を描きだしているが、未だ物語の終結が見えない展開に、正直私はイラついている。
久々に、CS放送で観たのだが、今でも十分に通用するアニメであることには驚かされる。当時の作画技術の確かさを伝えるものであろう。私としては珍しいのだが、この作品は原作の漫画よりもアニメのほうが好きです。