先週末、風邪を引いたおかげで、休日はのんびりとクダラナイTV番組を見ていた。
TBS製作のドキュメンタリーで、要は戦争法反対である。安倍政権が力を入れている自衛隊の海外派遣は戦争への道であると、賢しげに警鐘を鳴らしている番組である。
相変わらずバカ丸出しの内容である。
番組の内容は、南スーダンにおける国連のPKO活動の実態をレポートしたものだ。人道支援のために現地に滞在していたNGOの人たりが、政府軍から攻撃され、男性は撃たれ、女性は暴行されたと報じている。
南スーダンの内乱は、人種というか部族問題が絡む。政府と相容れぬ少数派部族を支援する国連軍及びNGOは南スーダン政府の怨嗟の的であり、それゆえに政府軍そのものがNGOを襲ったり、それを警護しようとするPKO部隊を攻撃したりしている。
つまり、安倍政権が主張するような「駆けつけ警護」が政府軍と戦闘になるような事態はないとの主張が嘘であると、悲惨な映像を背景に警告しているの訳である。このままでは、日本は戦争に巻き込まれるぞと警告が番組の目的であることは明白である。
未だに戦闘と戦争の区別がつかないらしい。
私が失笑を禁じ得なかったのは、同番組内で南スーダンに派遣されている中国軍の装甲車が、駆けつけ警護に向かった先で南スーダン政府軍の攻撃を受けて死傷者が出ている映像を平然と流していることだ。
駆けつけ警護が戦争への道だ?ならば、南スーダン政府と中国は戦争になったのかい?
未だ戦乱による混乱から抜けきらぬ危険地帯で活動するからこそ、国連は加盟国に依頼して軍隊を派遣して当地の治安を確保する。それがPKO活動であり、当然に銃撃、爆撃等があるものとして行われる。
一時期、日本がPKOを派遣するにあたって、自衛隊ではなく、警察を派遣しろなどという馬鹿がいた。警察の保有する武器、つまり拳銃程度で戦乱の地で治安維持が出来る訳がない。なにせ、当地では当たり前のように小銃、突撃銃のみならずミサイル・ランチャーを持っている人が珍しくない。
警察官の持つ拳銃なんて、戦乱の地では威圧にもなりゃしない。第一、水も食料も十分でないところで警察が活躍できる訳がない。自活能力のある軍隊でなければ、戦乱の地を治めることは出来ない。
その軍の警護あってこそ、NGOの人権活動は可能となる。戦闘があって当然であり、PKOは死傷者が出ることを前提にした活動なのだ。
で、そのPKO活動がなぜに戦争への道へとなるのか。番組では、その問題は一切無視して、ひたすらに南スーダンの惨状と、そこでの活動の厳しさを伝えるだけである。
PKOにせよ、NGOの人道活動にせよ、旧来の金を出すだけでなく、人的貢献を目的としてものであり、敢えて危険地帯に赴くからこそ価値がある。その活動自体を否定するなら分かるが、「駆けつけ警護」だけを取り上げて、それを戦争への道だと批難するのはおかしくないか。
私は平和な日本であって欲しいと切望しているが、日本における平和原理主義者の愚昧ぶりには心底辟易しています。