私はわりと漫画を読むほうだと自覚している。
ただ、昨今漫画雑誌に限らないが、活字出版物が減ってきているようで、それがいささか心配だ。日本では常に売れ筋の週刊の漫画雑誌ではあるが、実は非常に激しい生存競争が繰り広げられている世界でもある。
出版社が伝統ある大手であっても、ダメな雑誌は潰れる。数年前だが、週刊ヤング・サンデー誌(通称ヤンサン)の廃刊などは、その典型であった。小学館は古くから漫画雑誌を刊行している古手であり、売れっ子漫画家を多数抱えている。
だが、ヤンサン誌の廃刊は止められなかった。これは新しく据えた編集長の個人的嗜好を優先した編集方針に多くの漫画家が離反したことが最大の原因ではあったが、それを止められなかったのは、小学館の責任であろう。
最近、私が危ないかもと心配しているのが、毎週月曜日に刊行される週刊ヤング・マガジン誌である。
発行部数がどうこうではないが、掲載される漫画の傾向に、なんとなく不安を覚える程度の心配である。特に明確に根拠がある訳ではない。ただ、はっきり言えるのは、私が毎週読みたいと思う漫画が非常に少なくなっていることだ。
そのなかでも、月一連載で密かに人気を博しているのが表題の作品だ。
普段は公園で暮らすホームレス。しかし、その正体は引退したヤクザ崩れや、闇格闘大会のチャンピオンなど一癖も二癖もある裏社会の住人である。彼らに仕事を頼むのは、ほとんどの場合、現役のヤクザであり、ヤクザも手を出し渋るような厄介な事案の解決を仕事にしている。
いわば必殺仕事人のホームレスである。必ずしも正義の味方ではないが、彼らなりの義理人情を基準に、時には弱い者を助け、あるいは裏から支援する。彼らは決して堅気の世界には棲めぬ人たちであるが、堅気への憧れはもっている。でも、堅気になれぬことを自覚しているがゆえに、決して一線を越えない。
ヤンマガという雑誌は、昔から暴走族もの、ヤクザもの、格闘技ものなどの連載が多いのが特徴であったが、これほど乾いた味わいのあるヤクザものの漫画は稀だと思う。
私の勘なのだが、ヤンマガはそろそろ路線変更を打ち出さないと、じり貧となって廃刊する可能性がある。個性の強い雑誌なので、根強いファン層もいるが、一般受けをしない作品ばかりだと、本当に危ないと思います。
「センゴク」「彼岸島」そして「スモーキング」の連載だけは、しっかり続けて欲しいと思いますがね。