ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ゲームのルール

2017-09-11 13:03:00 | 経済・金融・税制

どうも胡散臭い。

ヨーロッパの自動車メーカーが、2040年までにガソリン及びディーゼルエンジンを搭載した自動車の製造を止めて、EV(電気)自動車へ移行すると発表したのは既報のとおり。

私はどうも、この動きを素直に信じられない。現代文明は、石油消費型文明である。その代表とも云えるのが石油を燃やして動く自動車である。社会のインフラと言ってよく、そうそう簡単になくすことなんて出来ないと思う。

にもかかわらず、アメリカも日本も石油を消費しないタイプの自動車の開発に余念がない。その一つが電気自動車であり、もう一つが水素自動車である。どちらも未完成の技術であり、そのつなぎがハイブリッド車だと理解していた。

しかし、フォルクスワーゲン社のディーゼルエンジンの不正問題が、状況を大きく変えたように思う。都市内での使用が多い日本と異なり、欧米では遠距離移動が中心なので、ハイブリッド車よりも、ディーゼルエンジンのほうが効率が良かった。

しかし、ディーゼルエンジンの排ガス規制はあまりに厳しく、どの自動車メーカーも対応に苦慮していた。規制に応じたエンジンだと、快適な運転が阻害される。

いくら排ガス規制をクリアしても、走りの性能が低下したのでは車は売れない。だからこそ、VW社を始め多くの自動車メーカーが不正に手を染めた。この不正、どうも報じられている以上に根が深いように思う。

どうらや欧州の自動車メーカーの大半(一部日本の会社も含む)が、この不正に加担していたようなのだ。その背景にあるのは、ディーゼルエンジンの環境規制対応の難しさである。

技術的な問題と、コストの問題を両立させるのが難しい上に、車のエンジンとしての満足のいく出来ではないことが、不正に加担なさしめた理由であるようなのだ。

では、ハイブリッドエンジンは? どうも嫌らしい。基本的な特許の多くが日本企業に抑えられていることが納得できないらしく、ならば一層のこと、EV(電気自動車)で、自動車市場を埋めつくしてしまおうと考えているっぽいのだ。

ゲームに勝つには、ルールを自分たちに有利に設定してしまうのが一番だ。ヨーロッパによる近代化の歴史とは、このルール作りの主導権を握ることによって達成されている。

自動車だけではない。船舶、鉄道の主な基準は全て欧州で決められている。長さや重さなど度量衡についても欧州主導である。海図、航路図、航空地図も同じである。ルールを支配することで、ゲームを有利にもっていくのがヨーロッパの手管であった。

日本が得意とする分野では勝負させず、自分たちが有利に運べるルールに持ち込んで、市場での優位を確保したい。そんな思惑が透けて見えるのが、自動車エンジンの製造停止ではないかと私は勘繰っている。

これは経済に限らず、オリンピックなどでもしばしば為されてきたことでもある。

ふん! 日本企業の柔軟さを思い知らせてやるぞ。 まぁ、日本の近代化なんて、欧米の定めたルールに苦しみながら、そのルールに対応し、かつ追い越してきたのだからね。

コメント (2)
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