子供向け映画にケチをつけるのは無粋だと思う。
実際、映像は楽しい。人間が立ち去った後、部屋に残されたペットたちの秘められた楽しみは、観ているだけで楽しかった。
ただ正直に云えば、楽しかったのはそこまでで、物語の過半を占める捨てられたペットたちと、家に戻ろうとするペットたちの物語は長過ぎるオマケに感じてしまった。
もっといえば退屈だった。よく出来た3Dアニメの描写が、かろうじて眠気を抑え込んだだけに過ぎない。実際、私は自宅のCS放送で観たのだが、途中から領収証の整理をしながらの、ながら観であった。
子供向けに楽しく作ろうとの製作者側の意図は分かる。分るけれど、これは大人が観るには退屈に過ぎる。ペットと人間との関係、あるいは人間側のエゴの描き方が甘すぎる。
多分、同じような漫画を日本人の漫画家が描けば、ペットを愛玩道具として勝手に振り回す人間の汚いエゴを抉り出すと思う。日ごろ、日本人はあまり意識していないが、日本の子供向け漫画って、けっこう厳しい内容を含んでいる。
だが、アメリカでは漫画は子供向けの意識が強く、子供には楽しい夢を見させるべきとの固定観念がある。一概に否定できないが、子供というか育児に関する常識が異なるので、良い悪いといった判断は避けたい。
でも、いくら大人が子供に汚い現実を見せたくないと願っても、結局のところ子供たちはその現実に気が付いてしまう。私としては、子供のうちに汚く残酷な現実を、いくぶんか毒気を薄めて知らしめるべきではないかと考える。
そのあたりの感覚は、国、社会、宗教、民族などにより差はあるだろうと思う。だがアンデルセンが残酷な童話を、敢えて書いていたように、幼いうちからある程度、子供に冷酷な現実に対するワクチンとして、厳しい物語をみせる方が良い様に思う。
まァ万人が納得する答えはないでしょうけれどもね。率直に言ってこの映画、小学校に上がる前の小児向けでしょう。大人には退屈過ぎます。